2002年日韓共催サッカーワールドカップの沢木耕太郎による「従軍記」のようなもの。「杯(カップ)」とは言うまでもなく「ワールドカップ」のこと。
沢木耕太郎と言えば、『深夜特急』。20代の頃に読み、それにあこがれてインドのカルカッタ(コルカタ)にも行った。「旅」についてのバイブルのようなものだった。あの頃は、文体の歯切れの良さや、いろいろと生きることに試行錯誤して素直に悩んでいる様子がカッコよく感じられたのだが、今、40代になって読んでみると・・・なんだか物足りないのだ。なんだ、このヘナヘナした文章は。と言うか、ウロウロしているのは構わないんだけれど、それを事細かに描写することのカッコ悪さは、なんなんだ!と思ってしまう自分に驚いている。テーマが「旅」ではなく(旅もしているのだけれど)「サッカー」というのも、私にとって40年近い付き合いのある「サッカー」と、付け焼刃的にここ10年ぐらいでサッカーに興味を持った沢木耕太郎との違いが感じられるから、こんな違和感を覚えるのだろうか?
観戦記録を読んでいると、神戸で、大分でそして韓国のウルサンで、沢木が観戦した試合のうち何試合かは私も観戦していることがわかった。沢木と同じ時間、同じ空間で、同じ試合を見ていたんだなと思うと、ちょっと今になってドキドキしたのもまた事実である。 |
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