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『恩はあだで返せ』
(逢坂剛、集英社:2004,5,10)
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斉木斉、梢田威、五本松小百合といった警視庁の刑事が主人公のシリーズ。この五本松小百合という名前から想像する人物像と、逢坂剛が描いている人物のイメージが一致しないので、ちょっとイライラする。登場人物の名前というのも大切なものだなと思った。
直木賞受賞作の『カディスの赤い星』を読んで以来10数年、逢坂剛の作品は出れば読む。書棚に並んだ逢坂作品を見ていると、出版社ごとに傾向を分けて書いていることが判る。その多くは、その出版社が出している週刊誌などの雑誌に連載していたものをまとめたものであろう。書棚にあるものを出版社別に分類して並べると、
(集英社)
「しのびよる月」「配達される女」「恩はあだで返せ」「よみがえる百舌」「幻の翼」「水中眼鏡(ゴーグル)の女」「裏切りの日々」「空白の研究」
(文藝春秋)
「禿鷹の夜」「無防備都市・禿鷹の夜�U」「銀弾の森・禿鷹の夜�V」「デズデモーナの不貞」※「燃える地の果てに」
(毎日新聞社)
「あでやかな落日」
(中央公論新社)
「牙をむく都会」
(朝日新聞社)
※「斜影はるかな国」
(講談社)
「イベリアの雷鳴」「遠ざかる祖国」「燃える蜃気楼」「カプグラの悪夢」「カディスの赤い星」「十字路に立つ女」「まりえの客」「スペイン灼熱の午後」
(新潮社)
「熱き血の誇り」「アリゾナ無宿」「相棒に気をつけろ」「クリヴィツキー症候群」

といったところ。結構、読んでるな。このほかエッセイなども読んだが、この中では講談社のシリーズがスペインに関連していて一番興味深い。※印の作品は、表紙の絵をスペイン在住の画家・堀越千秋氏が描いていたカラフルなものだった。堀越氏は以前、読売新聞の日曜版にエッセイを書いていたが、なかなかおもしろかった。
逢坂氏の趣味であるスペイン、フラメンコギター、拳銃から派生して、スペイン内戦、警察などをテーマにしたものが多い。ハードボイルドでありながら、結構笑える部分もあるというところが魅力か。次の作品が楽しみ。

★★★
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