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『「お約束」考現学』
(泉麻人、実業之日本社:2003,8,20)
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泉麻人の、いつもの軽いエッセイ。『週刊小説』という「隔週刊」の雑誌(2001年5月25日号〜12月28日号)と、その後「月刊」になった「J−novel」(2002年4月号〜2003年6月号)に連載されていたものをまとめたもの。世間の微妙な法則のパターン30項目を読み解いた、まさに「リラックス・エッセイ」。(帯にそう、書いてあります)そうそう、泉麻人というと、なんとなくおもしろくて脱力感のあるエッセイで、特にイラストが、あの蛭子能収さんなので、その気分に拍車をかけてくる。(脱力感に拍車をかけるという表現は、矛盾しているようだが・・・。)
その中で気になった項目は、まず「5 いまどき言葉の考察」。この中で泉さんは「きもい」という言葉を取り上げて「僕が大学生の頃(1978年)には『キモイ』を『気持ちイイ』の意味で使っていた。いつから逆の意味になったのだろうか」と記しているが、ちょうどその頃高校生だった私は、既に「キモイ」を「気持ち悪い」の意味で使っているのを聞いたことがあったので、「東京と大阪では意味が違ったのか。そして今は大阪風の意味が流通するようになってしまったのか!」ということに驚きを感じた。
また「24 テレビ業界人のお言葉」では、ある雑誌の座談会であおい輝彦と話していた尾藤イサオが、年齢の話になった時に「オレ、来年、レキカン(還暦)」と、「業界人風さかさま言葉」を使った場面に遭遇したという記述が、大変貴重であり興味深い。
そういう「おもしろエッセンス」と、言葉や事象に関するキラリと光る冷静な眼が、泉エッセイの特長であり、だからこそ、ついつい読んでしまうのだ!

★★★
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