赤瀬川原平さんと言えば、私にとっては『新解さんの謎』あるいは『トマソン大図鑑』、はたまた『老人力』のイメージ、あるいは、「路上観察学会」の南伸坊、藤森照信といった人たちとのつながり、ニラの生えた屋根の家に住んでいる、などのイメージがあったが、この本は「日本美術」について、山下裕二という人と語っているものだ。山下って誰?プロフィールを見ると1958年生まれで明治学院大学の教授。美術評論家のようである。文庫本で950円(税別)もするのに買った理由は、
1)赤瀬川さんの本だったから。
2)対談形式で読みやすそうだったから。
3)カラー写真が豊富に載っているから。
といったところ。読み終わっての感想は、この本のテーマは、
「日本美術とは『乱暴力』である」ということのようだ。全編を通じて出て来る「乱暴力」という言葉。これがキーワードですね。なんだよ、その「乱暴力」と思われるでしょうが、言い換えるなら、「写実を超えた、画家の意識や行動・情念」とでも申しましょうか。「天才」が持つ、常識では考えられないような、型に「はまらなさ」、といったようなもの。それを赤瀬川さんも山下さんも「自分ではマネの出来ない能力」として憧れ、求めている。そんな感じがしました。ふだん、あまり興味が沸かない日本美術に対して、「一度見に行ってみようかな。」と確実に思わせる一冊だと思います。それにつけても、やはり「生」で見ないとなァ、写真じゃなあ・・・と思いました。 |
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