NHKのお天気おじさんとして有名だった(あえてだった、と過去形にしたのは、若手のアナウンサーに聞いても倉嶋さんのことを知らないからです。)あの倉嶋さんのエッセイ。奥さんに先立たれてうつ病になり、そして立ち直った今年80歳の男性のあるがままを綴ったもの。2002年の7月に単行本が出ていますが、それが文庫化されたものです。
男は仕事、女は家庭のことをやるのが当然という「古きよき時代」を生きてきた男が、妻に先立たれてどうなったか。またその苦しみの中からどうやって立ち直ったか。ハッキリ言って、こんなに倉嶋さんが情けない男だったとは・・・・という部分を包み隠さずに記しています。大きな文字はお年寄りにも読みやすいようにと考えられたのでしょうが、それにしても大きな文字。1ページに1行35字で14行、つまりぎっちり詰まって490字しかありません。かえって読みにくいかも・・・。
倉嶋さんはもともとプレッシャーに弱い性格で、奥さんがご存命の時も時々「ぼくはもうダメだあ、なんとかしてくれい!」と駄々っ子のようにパニックを起こすことがよくあって、それを「夜泣き」と呼んでいたそうです。ご本人は奥さんよりも自分の方が先に逝くに違いないと思っていたので、余計に、奥さんがなくなることが現実になった際にパニックに陥ってしまったのでしょう。
今後、誰もが必ず迎える「往生際」について、一つの例として読みました。 |
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