• 『アニ民348人目』「MIX」監督の渡部穏寛さん
  • 『アニ民348人目』「MIX」監督の渡部穏寛さん

  • 2019.05.30

 今週のアニ民は「MIX」監督の渡部穏寛(としのり)さんです。ボクは「MIX」のシナリオ会議で初めてお会いしました。とは言ってもお名前はTVアニメシリーズ「東京喰種(グール):re」の監督をされてたのを知っていました。それだけに打ち合わせをするまではグールと、今回の「MIX」映像リズムとはかなり違うよな、って思ってました。

 渡部さんは北海道美唄市出身。小学校の時に札幌へ引っ越して、絵を描くのが大好きだったのでアニメもマンガもよく見て絵を描いていた。まさに高校時代の時にエヴァンゲリオンブームがやってきて、自分が好きだったアニメ専門学校へ進学。まわりもみんな東京へ出て行くので流されて自分も好きだったアニメ専門学校へ。ただご両親からは何をするにせよ大学4年間の猶予と言われてたのと、専門学校の周りがみんな東京へ出ていくというので、とにかくアニメ関係で就職を、と上京し、下請け作画スタジオに入る。2年間はバイトもかけもちしながらの修行生活、入ってすぐに監督やりたいアピールはしたものの、実力主義の世界をイヤというほど経験していったそうです。

 面白いものを作りたいという思いは変わらず、東映アニメ関連の下請けの作画をしながら演出になるまで10年、初めて任されたのがソーシャルゲーム原作「ドリランド」。責任を背負いながらの各話演出の一年間でかなり成長できたと言います。そこに舞い込んできたのが「東京喰種:re」。スケジュールがない中の依頼だったけど、やると決めたからには、全話数の絵コンテを自分で切ってがんばった。原作の石田スイさんの絵が美しく構図もカッコいいし、キャラクターの見せ方も勉強になったそうです。
 
 というわけで今回の「MIX」です。初めて話を受けた時はすごくプレッシャーはあったそうです。でも「タッチ」の再放送は全話しっかり見てたそうで…よく考えて「ここはチャンス!」とばかりに、自分も感じてる昭和へのオマージュをしっかり出せば面白くなると確信したとか。その昭和感を随所に散りばめていくのが楽しいそうです。
 
 実際懐かしくもあり新しくもある「MIX」の高校生群像劇は、「東京喰種:re」とは正反対なモノなので、逆にスンナリと入っていけたと言います。大好評連載中の原作で描かれてる人間関係や野球の展開が全て青春!TVシリーズを最後まで見てもらえると、その青春を含めて大切なものが全部伝わる、そう思って毎週制作しているそうです。番組は小学館集英社プロダクションの伊藤さん、OLMの児島さん、YTV永井さんらのプロデューサーによって、例えば「いとうあさこを探せ」とか「高校生ブラスバンドによる『タッチ」演奏」とかユニークな企画が本編に盛り込まれていて、それを渡部さんがバランス良く配置しています。実はOPテーマ映像もいったんリリースしたものから少し変化させたのも、監督としての意思の主張だったりするのです。
 
 渡部さんが好きな映画は「パルプフィクション」などタランティーノ作品。そしてボクの顔を見て「シティーハンター」にも大きく影響を受けた、って言ってくれました。お酒はビール、食べ歩きは良くするそうで、やはり地元のジンギスカンなどは大好物だとか。ちなみに実は新元号「令和」が発表された瞬間、ボクは監督の隣にいて「MIX」の音響作業をしていました。というわけで「MIX」含めて、これからの新しい時代もぜひ一緒に開拓していきましょうね。