• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民191人目
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  • 2013.06.20

 今週のアニ民は東宝取締役・市川南さんです。

 市川さんの第一印象はその端正なマスクです。どう見ても出演する方だろう、と思えるその口から出る意見は、いつも論理的で冷静でうなずくことばかりです。最近はコナンの製作委員会にも参加されるのでお会いする機会が多くなりました。

 初めて会ったのはずいぶん前のコナン製作委員会だったと思いますが、おそらくその頃東宝の映画調整部という部署にいらして、映画興行関係でかなりお世話になっていたと思います。

 その後僕が手掛けた「ブラック・ジャック」のアニメ映画化の際も製作委員会としてお世話になりいくつか相談をさせてもらいました。その映画「ブラック・ジャック 二人の黒い医者」が公開されたのが2005年12月。この映画も多分に漏れずいろいろあったのですがそれからでしょうか、お互いに何かあると電話をするようになります。そして回数は少ないですが、食事もご一緒にできて市川さんなりの映画観などもお聞きしたりしてきました。

 2009年3月に金曜ロードショーで放送された「ルパン三世vs名探偵コナン」の時には「面白かった。こんなコラボができて、その上さらにこんな見事な融合感がある作品になるんですね」と素早いリアクションをいただきました。なのでそれから約1年後に映画化にある程度勝手な目星をつけた僕は、市川さんに「2013年末にこの作品が全国公開できる箱(映画館系列)を準備してもらえますか?」と電話をします。さらに数週後に会社にお伺いして、まだ全然決まったわけではない状態の映画版「ルパン三世vs名探偵コナン」の超フライングなお話をしてしまいます。あの時出されたお茶は妙に苦かった気がします。

 先日4月20日の「名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)」公開初日を期して発表された「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」は5月に第一回目の製作委員会会議が開かれました。その席で市川さんがその当時の電話の話に触れてくれて、僕の頭は走馬灯のようにそれまでのいろんなシーンがめぐりまわり、ぐっと感慨にふけってしまいました。

 さて6月6日に「映画名探偵コナンシリーズ」製作に対して小学館・浅井さん、TMS・石山さんと共に名誉ある「第32回藤本賞」をいただきました。この賞の第一報を電話でくれたのがこれまた市川さん。実はその2日前にも別に電話をもらっていて、その内容が「今度のコナン映画に小学生の女の子がこんな疑問を持っているそうですよ。」相変わらず具体的で鋭い感想や情報には事欠きません。その市川さんも実は平成16年に「世界の中心で、愛をさけぶ」で藤本賞をもらってる大先輩だったりして。

 冒頭にも紹介した今の市川さんの肩書きは「取締役・映像本部映画調整、同映画企画各担当兼同映画調整部長」すなわち映画編成のど真ん中の位置。さらには東宝の映像制作現場「東宝映画」という会社の社長も兼任されています。ということは創り手送り手として今もバリバリ現役ということですね。とにかく今回のコナン映画は藤本賞も追い風になって、第17作目にして興行成績の最高記録更新となりました。本当にありがとうございました!ぜひこれからもお互いにマメに楽しく情報交換をしていって、映画にTVにクオリティも成績もさらにアップを目指していきましょう!