• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民184人目
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  • 2013.04.25

 音響分野も大評判の映画「名探偵コナン 絶海の探偵」、今週のアニ民は音響ミキサーの山本寿さんです。

 クレジットでは整音と表示されている山本さんのお仕事は、大きなミキサー卓にすわり、アフレコやダビング(アフレコした素材に音楽や効果音などを付ける)の際に音量や音質を調整するということでしょうか。アフレコの時など声優さんがどのマイクに入るのかを見ながら、ドラマ進行に合わせて声のバランスをとっていく。その仕事の手の動きを見ていてもなんとも細かく、簡単な作業ではないですよね。

 ミキサー卓に山本さんを見るのはいったいいつごろからでしょうか。「魔法騎士レイアース」の頃から一緒だったことは確かです。僕がまだ仙川に住んでいたころ、アフレコ終わってみんなで楽しく食事をして帰る時、毎度タクシーを相乗りしてた記憶は鮮明です。なぜか山本さんに「おやすみなさい」って車降りた場所まではっきり覚えているくらい。

 その後引き続き「名探偵コナン」のミキサーとして手伝ってもらってるので、コナンTVシリーズスタート時からの、もう数少ないメンバーの一人ということですね。山本さんのミキサーとしての仕事ぶりは結構寡黙な感じです。が、隣の音響監督・前回アニ民の浦上慶子さん=けいちゃんとの息はピッタリで、収録した細かいニュアンスまで覚えていたりする山本さんに頼るところも大きいようです。

 さて映画「名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)」での山本さんの作業は壮絶です。まあ毎年のことなんですがダビング作業が途方もないコトになっています。1本の映画を大体6ロールに分けて、一日1ロールづつこなしていくのですが、僕らがスタジオに入って観る時はリハーサルとは言え、ほとんど完成型になっているのです。ということはここまで山本さんたちがいかに手を加え、そこまで持ってきてくれているのか、細かく想像すると正直言ってゾッとしますレベル。ちなみにその素材をみて監督や僕らスタッフが意見を言って、直しをしてもらったりします。

 というわけでダビング作業中の山本さんはなかなか家に帰れなかったりして。いやダビングのもっと前からスタジオに泊まり込む勢いの作業だそうです。映画のクオリティを上げるための細かい音作り作業に、「これで100点満点です、終了」、はありません。もっと上を追求すればするほど山本さんたちスタッフの気の遠くなるような作業が増えていきます。

 仕事は寡黙でアフレコ後などの食事時もけっこうおとなしめに見える山本さん。でもコナンスタッフ旅行では行動はかなりアグレッシブ。楽しいことや自分の目指す方向には上手に遠慮がないですね。というわけでコナンアニメパイオニアスタッフとしてこれからもコナンと一緒に疾走していきましょう!

 と書いたのですが、なんとこのタイミングで担当作品が変わるという情報が!でもそれはいいことですよね。またいろいろな作品に携わり、整音の経験をいっぱいつんで音響世界を牛耳った上で、またコナンにもお力を下さいね。ではいってらっしゃい!