• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民174人目
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  • 2013.02.14

 今週のアニ民はジェンコの代表取締役社長 真木太郎さんです。

 真木さんに初めてお会いしたのは1980年代後半「アニメだいすき!」の番組購入話を各社に相談に行っている時でした。当時最大手会社の一つ東北新社にいらした真木さんとその仲間には、駆け出しの僕になぜか目をかけていただいた気がします。かなり前のアニメ日記で閉店を惜しんだ四谷三丁目「茜」というお店で何度もお話してた記憶があります。

 そのあと真木さんはパッケージビジネスの方に転じ、パイオニアLDCに転職。そこでも重ねてつちかったもので1997年に「ジェンコ」を立ち上げ独立します。「アニメだいすき!」でもお世話になった「天地無用!」という企画があったおかげと言う真木さん。その頃の経緯は詳しくは知りませんが、かなりな荒波に航海して行ったことは事実でしょう。アニメ業界において、今までに無いスタンスのビジネスを仕掛けようとした真木さんの戦略は、いくつもの苦労を乗り越えて、ジェンコの名前は多くの作品に刻まれていきます。

 ジェンコの仕事を一言で言うなら“アニメ作品の出資側と制作サイドをつなぐプロ集団”でしょうか。アニメ制作に魅力を感じた企業に、作品としての面白さを保証しながら、ビジネス面においてもフォローしていく。簡単に表現できても決して簡単ではない多様な作業を含む航海であります。

 真木さんが2006年に一度だけYTVに、制作会社・代理店と一緒に企画を持ってきてくれた事がありました。時のタイミングもあってYTVではできなかったその企画は見事に他局で成立します。当時はどんな企画でもビジネス面が重要なのは当たり前で、その際に抑えるべきポイントをきっちり持っている人なんだな、と感じました。

 そんな真木さん、例えば昨年には「あの夏で待ってる」「アクセル・ワールド」「ソードアート・オンライン」などヒットを連発。特に「ソードアート・オンライン」の方は昨年で最もDVD・BDが売れたテレビアニメだそう。

 真木さんにとってジェンコという会社はパイオニアスピリットを持った作品のようなものですね。ご自分とご自分が社長たる会社のお話に境界が見えません。それは例えば僕が「名探偵コナン」という作品と自分を同等において会話するのに似ている気がするのですが…。

 そんな真木さんが今一番大事にしたい言葉が“アニメ産業”だそうです。夢を追って面白い作品を作ってゆく、基本にそれは当然として、やっぱり業界として発展してゆくためのビジネスラインを構築していきたい。それも一社がどうするという話じゃなく、業界が産業として捉えるべく動きを見つめていく。現状まずはいろいろな人を通して、じっくり活動を開始し出したそうで。

 とにかくジェンコという会社は制作会社でもメディアでも代理店でもない、真木さんが言うそんなスタンスが、聞いていていさぎよいというか大変そうだなというか。でも僕も業界人のはしくれとして“アニメ産業”という言葉を大きな形にしていくべく協力させていただきたいと思っています。“錦の御旗はためく元に”真木さんのお話にこの業界に入って初めてそんな印象を、極めて前向きに感じてしまいました。お互い旗も振りながら元気に前進していきましょうね。