• 映画とエイサー
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  • 2008.09.09

 今は夏のイベントが終わって一段落。放送再開までにも日にちがあって、これが余裕があるってコトでしょうか。いつもに増して映画が観れてます。というわけで最近観た映画は「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」「ベガスの恋に勝つルール」「ダークナイト」。どの作品も1カット1カットにお金と時間をかけ、すごく映像にこだわってエネルギッシュな見ごたえ。邦画も洋画もそうだけど、お金を払って来てくれる観客をどう満たしてやろうか、という意気込みがスクリーンから伝わってくるのは嬉しいよね。「どうだ!」と言わんばかりのリキが入った映像は、監督以下スタッフからの挑戦状のようにも感じます。

 「ベガスの恋に勝つルール」はネット仲間の20代前半の女性が「生涯No.1かも」と言ってたので観に行ったんだけど、実はあまり期待していなかったんだ。でもヤッターマン並み(?)荒唐無稽な世界で、でもその世界観を上手に使いながら、観る人がこうなったらいいなと思えるような展開がちょっとイイかも。ストーリー展開を強調せんがためのあのスピード感あふれる、連続なシーン編集が効いてるのかもね。「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」は「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」に近い作品で、こちらも密度が濃くて、どのシーンもどうやって撮ったの(?)というシーンの連続。微に入り細に入り、これでもかっていうくらいの動くCG映像は、もう我々は創造の神です状態です。とにかくCGを使えば何でもできると思っている観客に対し、その思いも超えてやるぞ的なチャレンジをしているんだろうね、たぶん。

 バットマンシリーズの「ダークナイト」は「善と悪」というシンプルなテーマを、舞台背景は完全に現代なのに人間思想はなんとなく1960年代っぽい根っこを持った、見ごたえのある140分。英語では「DARK KNIGHT」、バットマンって元来正義のヒーローではない難しい存在だったのね。それにしてもこの映画で描かれる「善と悪」は見事で、答えは出にくいけど大切な何かを含んで深みがありました。ラストの主人公の判断は疑問だったけどね。この作品は「スパイダーマン3」の歴代オープニング記録を塗り替え、1億5830万ドル(約169億円)で初登場1位を獲得。その勢いを世界中で持続しているそうですが、日本は別のようです。いくら深い人間心理を見事に描いていても、こんなダークなトーンの映画がそんなに大勢の人に受け入れられている事は、やっぱりアメリカンスピリッツみたいなものがちゃんと出ているのかも。日本で「千と千尋の神隠し」をみんな観に行ったように。でもあのキャラがコミックで何10年もの間ずっと浸透していることもあると思う。

 「20世紀少年」も力作ですね。なんだか大きな風船がパンパンに膨らんだ緊張感ある世界感に、これからどうなるんだろうという期待感が重なります。実は「ダークナイト」も少しそうなのですが、ヒール側(チーム?)の実力のリアリティがないのが気になります。「ダークナイト」の方はジョーカー役のヒース・レジャーの怪演でほとんどOKですが、「20世紀少年」の方は3作のうちの第1作目のせいか、あまり描かれずに残念。それでも浦沢さん原作の魅力も出ていて140分はすぐ過ぎました。東京・渋谷の飲んべえ横丁があのアジトの入り口だったのには思わずニヤッとしてしまいました。よく行くWの看板も映っていたので(笑)。

 昨年の映画だけど、小栗旬さん主演「キサラギ」もようやく観ることが出来ました。舞台劇風なシナリオがホントに良くできていて脱帽、「名探偵コナン」もこーゆーテイストで作ってみたいと思ったほど。「名探偵コナン」でもいつも目指している事だし当たり前ですが、シナリオの完成度は大切です、特にミステリー物はね。

 それから先日縁あって、沖縄県うるま市で行われた第3回エイサー祭りを見る事ができました。沖縄の大切な文化をまず地元のイベントを通じて、守り育てようと最近始まった、でもすごく大規模なお祭りです。沖縄の衣装をまとった男性も女性も三線を使ったリズム豊かな沖縄民謡に合わせ、勇壮に太鼓を叩いたり踊ったり(写真は『へきしや青年会(東)』のみなさん)。

 しかしエイサーに付き物のあの指笛は、どうしてあんなに鋭く大きな音が出るのでしょう。どうやっても出なくて、すぐにのどが痛くなります。エイサー祭りをやっている広いグラウンドの周りにはお菓子やゲームの露店が出店されてて、明るいうちからなんだか懐かしい空気がいっぱい漂います。地元の文化を守り育てる、というよりまずエイサーで愉しむのが好きで仕方ない、といった素敵なお祭りでした。

 こうなると「阿波踊り」とか「おはら風の盆」とか、その辺の超有名な踊りもこの目で見てみたいなあ。そーゆー庶民民衆の伝統芸能文化は、踊る人も見る人もただその空気に参加する人もいて支えられていると思うけど、アニメーションも映像を作る人、見る人がいて、作品1作1作がそんな文化と似た構図になったりする気がします。例えばアニメーターが描いて美術が背景をつけ、声優が声を吹き込み、音楽や効果で映像作品として完成させてリリース…。これって各地でお祭りをになう人たちが真剣に取り組む肉体を使った表現とレベルは同じかもね。やっぱりどんなことでも自らが表現者になって参加者になって、自分の身体でメッセージをキャッチボールできたりしたら超楽しいし素敵な事ですよね。