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『アニ民344人目』脚本家の冨岡淳広さん
- 2019.03.28
今週のアニ民は脚本家の冨岡淳広さんです。ボクが冨岡さんと初めて会ったのは「金田一少年の事件簿R」です。金田一最初のシリーズから書いてもらってる島田満さんらに加えて、新しいスタッフとして入ってもらいました。と言いながらボクが会議室で出会った第一印象は、その大柄な風貌からすごい実力者が来てくれた、のイメージでした。
金田一Rの最初のシリーズ「香港九龍財宝殺人事件」全4話から書いてもらったのですが、久しぶりに登場した新番組としての面白さはもちろん、そのスケールや展開の意外性など、原作の持つ特徴を存分に引き出してくれて、その後2期にも続く金田一Rの基盤を作ってくれました。そして「剣持警部の殺人」第2期では「薔薇十字館殺人事件」を担当してくれたのです。
そんな冨岡さんに久しぶりにお話を聞くことができました。1967年新潟出身の冨岡さん、70年代の刑事アクションドラマそして時代劇ばかり見てたそうです。「大都会」「探偵物語」「西部警察」などなど…その後業界ドラマとかトレンディドラマが主流となる前のドラマが血となり肉となってるそうです。そんな想いを胸に上京してとあるご縁で師事したのが脚本家・永原秀一さん。この方「蘇える金狼」「ゴジラ(‘84)」を書いているそうで、ゴジラも大好きな冨岡さんは迷わず弟子入り。ボクもよく知ってる脚本家・平野靖士さんシリーズ構成の元、大学生の時にTVアニメ「勇者エスクカイザー」でデビュー。しかし本人曰く若い作家にあるあるで、言われたことをうまく直せず失速、続く「太陽の勇者ファイバード」で、平野さんと何作も共作するも、それ以降継続して書いていくことに失敗してしまいます。
その後、3年半ほどバラエティ番組で場数を踏む一方、制作会社OLMのスタッフと出会い、TVアニメ「モジャ公」を経て、アニメ「ポケットモンスター」初期から関わっていくことになります。そしてこの時期までいろいろ相談してたのが先述した永原さん。お酒の飲み方もこの師匠に教わったという事で、この辺はもっと聞き出したいトコであります。
「逆転裁判」シリーズでもその実力を存分に発揮してもらってますが、今回、4月6日スタートの新番組「MIX」のシリーズ構成をつとめてもらいました。金田一R以来久しぶりにシナリオ会議でご一緒した冨岡さんは、さらに落ち着いたムードがあり貫禄も増して、「イナズマイレブン」などで培ったライターチームを率いる姿が本当に頼もしく感じられました。冨岡さんにはちょっと畑違い?に思えた“あだち充先生ワールド”を、見事に表現してくれてます。土曜の夕方に新しい風を吹き込む新番組をコナンと共に絶対にご覧になって下さい!。
畑違い?と書きましたが、実は冨岡さんの執筆志向は“後味悪いドラマ”だそうです。時代劇「必殺」シリーズなどにも強い影響を受けてて、いわゆる理不尽な報われないドラマを描きたいのだとか。そう言えば金田一Rの剣持警部の話もそんな面がありました。「太陽にほえろ」でも志半ばでの若き刑事の殉職なども強く記憶に残ってるそうです。一方、ボクなんか(「ブラック・ジャック」がそうでしたが、)予定調和は嫌だけどハッピーエンド方向にはもっていきたい、と思っちゃってます。なので、「後味悪いドラマが志向だ」という冨岡さんの感性はボクにとても面白すぎて、刺激的ですたくさんの刺激を与えてくれてます!
ご縁があって高校生でドラマ「西武警察」の台本を手にして、ワクワクして放送を見たらシナリオがずいぶん変わってた、ということを経験してる冨岡さん。「これからもシナリオをなるべく変えられない筆力を持ち、「MIX」のような作品はもちろん、残酷で無情なドラマも描く夢も捨てずにがんばっていきたい」との事で、まずはお酒を一緒に飲みながら、全面的にご協力させて頂きたいと思っております!そして後味悪くてもシャープな推理、でいけそうな「名探偵コナン」にもぜひ参加お願いをさせていただきます!