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『アニメ村のステキな住民たち』アニ民38人目
- 2010.04.30
今週は「名探偵コナン」阿笠博士役・声優の緒方賢一さんです。
このお方の歴史がそのまんまアニメの歴史になるんじゃないか、というくらいたくさんのキャラクターを演じてこられた緒方さんに初めてお会いしたのは僕のアニメデビュー作「ロボタン」です。ひょうきんな雨森評六というキャラを演じていただき、その面白さというか達者な人柄にひかれ、その後の「ボスコアドベンチャー」や「シティーハンター」初期などずっとお付き合いをしてもらいました。
「犬夜叉」の冥加はすごいですよね。ノミの大きさのキャラにしてそれを感じさせながらのギャグと存在感。長生きしていて物知りな妖怪なのに、大事なときに逃げたりしてちょっと憎めないキャラが、緒方さん独特の“がみょーん”のひと言で犬夜叉チームの中で特別な位置をかたどります。コナンの阿笠博士でもそうですが、与えられたセリフに飽き足らず、なにか一つひねってダジャレって貪欲に面白さを追求する、その役者精神にはいつも脱帽。「あたしンち」の父もあの妙なおかしさがお見事でしたね。
緒方さんは舞台活動にも長いあいだ意欲を燃やし続けてこられてて、劇団「すごろく」の座長も務めています。実は僕はこの劇団の前身「劇団がらくた工房」という名前のころから舞台を拝見してまして、ちょっとした“すごろくフリーク”であります。あの高田馬場の小さな劇場公演の後、となりの廃業した雀荘そのままのテーブルで打ち上げに参加したことは懐かしい思い出ですし、そこの近くの川を渡ったビルの1階にできた新劇場も覚えています。
ほぼ年間に2度のペースでしょうか、演出もしていくそのエネルギーにはアタマが下がります。最近は西新宿での公演が多いですよね。あのおひねりが飛び交う緒方さんの香りただよう独特の“大衆演劇的”雰囲気な公演が大好きです。必ずホロッさせる舞台を見ていてもそのあとの打ち上げに参加しても、どうみても緒方さんは座長と言うより存在が“おとうさん”であります。若い人がベテランになりさらに若い人がたくさん汗を流す劇団の歴史そのものの“おとうさん”。
「名探偵コナン」で15年演じている阿笠博士の役で好きなところは、とお聞きすると「探偵団の子供たちといつも一緒に行動できて、子供たちを守ってやれる立場にいること」と話す緒方さん。どうかこれからもご自分の劇団はもちろん、探偵団を始めとする名探偵コナンチームや阿笠博士のダジャレクイズ(なんとCCQという名称になってます)も一緒に、そのビッグなギャグセンスと“おとうさん”の境地で守っていってくださいね。