• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民81人目
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  • 2011.03.04

 今週のアニ民は小学館マーケティング局ゼネラルマネージャーの奥山豊彦さんです。とにかくめでたく15周年を迎えた「名探偵コナン」。この番組の基礎を作ってくれたのが今回紹介いたします奥山さんです。

 奥山さんとは、この25年にいろいろありすぎて書ききれませんが、初めてお会いしたのは少年サンデーに連載されてた吉田聡さん作「ちょっとヨロシク!」というマンガをアニメ化したいと、小学館を訪れた時でした。おそらくあれは1986年夏、まだ僕が出版社の様子や編集部の空気などもろもろ全く知らなかった頃のこと。他にも自分が面白いと思っていたゆうきまさみさん作「究極超人あ〜る」などもどうでしょうか、なんて事情も何もわからずに平気で会話してた僕に、奥山さんはひとつひとつ丁寧に対応してくれたのです。さすがにそのレベルでは企画成立するはずもなく、それから1年以上の時間が流れます。

 ビッグコミックスピリッツに連載されてた「YAWARA!」がメチャ面白く、これをアニメ化したいと小学館を訪れたところ、対応してくれたのがまた奥山さん。作品が載る雑誌は変わってもTV局からの企画は全部奥山さん担当なの?って思ってしまったのですがそんなわけはなく、サンデーからスピリッツに異動してふたたびきっちり面白い作品を立ち上げていたのです。それから涙がでるほど紆余曲折あって、1989年10月「YAWARA!」TVアニメがスタートします。原作者の浦沢さんの理解もあったのですが、担当編集者の奥山さんのバックアップなしでは絶対に成立しない企画でした。

 「名探偵コナン」は連載始まって10週目くらいに「このマンガ、ミステリーとしてはもちろん、キャラクター設定が抜群で絶対にアニメにしたい!」と最初に相談したのももちろん奥山さん。その当時は編集長代理という立場でした。そして「犬夜叉」の企画の時は編集長として、常に僕に指導をしてくれてたのです。

 奥山さんの特徴はいつでもどんな場合でも“正論”であることです。それもレベルが高いし強い正論。モノ造りは時に便利なウラ道を通りたい気持ちになることがあります。それを奥山さんは許しません。なんとか良いものを面白い作品を作ろうと、手を尽くし心を込めたレベルの提案まで妥協しないその姿勢は、結果としてハイクオリティな最高の作品を呼び込むことになりました。

 少年サンデーから異動してもコナンに熱い視線と意見を続けてくれた奥山さん。TVシリーズの2001年前後、映画ならば「天国へのカウントダウン」や「ベイカー街の亡霊」「迷宮の十字路」辺りの一つのピークは、こだま監督やスタッフの頑張りと共に奥山さんの意見が影響した面があることは否定できません。

 奥山さんがいらしたおかげで何の用事もないのに編集部に毎週遊び?に行っていた頃がありました。あのコミュニケーションが今の僕を支えてくれてるのは間違いありません。さすがに最近は奥山さんも部署が大きく変わって、僕も忙しさにまぎれてなかなか会うことも出来ませんね。先述したケーキ入刀共同作業をしたTMS吉岡Pも良く言いますが、どれだけ時間がたって立場が変わっても僕らは奧山塾の生徒であることは変わりません。どうかこれからも機会あることにあのキレの良い叱咤激励をお願いします。でもどんな提案に対したものでも、奥山さんの第一リアクションにはいつもちょっとビビるので、その前に未だにそのレベルかよ、と思われない様に全力で頑張らなくちゃ、ですね。