• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民87人目
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  • 2011.04.14

 今週は東宝関西支社宣伝部 塚本誠さんです。

 映画「名探偵コナン」15作という歴史の立役者の一人、塚本さんと初めて出会ったのは第1作目の「時計じかけの摩天楼」大阪公開初日の時だったでしょうか。そう言えばこの第1作目、東京と大阪では公開が1週間ずれてたんですよね。1週間早い東京では初日の土曜日に朝から冷たい雨が降り、日比谷シャンテの入り口にこだま監督と並び、半分ぐらいしか入ってないお客を見て「でもこの天気にこの早朝だからこんなもんでも上出来なんですよねえ」なんて話してました。

 それが次の週末、舞台を大阪に移動してフタを開けたらビックリするくらいの列が映画館に出来たのです。今はもう建物がなくなってしまった阪急梅田駅横の百又ビル・三番街シネマでの出来事でした。その時宣伝スタッフとして手伝ってもらってたのが塚本さんだったそうです。2作目「14番目の標的(ターゲット)」からはその映画館でお客さんのさばきや劇場のお仕事をされてました。今でこそ映画館は全席指定となってることが多いですが、そのころ立ち観もOKの時代だったので、ピーク時の賑わいは今とちょっと異なる空気でしたね。その後われわれスタッフは大勢の立ってたお客様と一緒に、初日の舞台挨拶を見ることになります。お客だけでなくスタッフや舞台挨拶ゲストに対して、丁寧に指示していく塚本さんたちにはそれから毎年お世話になってもう10年になってしまいました。

 実際“アニ民”と呼んでいいのかどうか、塚本さんのお仕事はアニメやコナン以外にも、一年を通して東宝が公開する映画の数以上に多岐にわたります、というか普通そちらのお仕事が多い。その中でも劇場の舞台挨拶のために来阪するタレントさんのお世話は最も大切なコト。いろんな嗜好を持つ多くのタレントさんにいちいち対応するのですから、その準備も大変。なので塚本さんは数多くのアンテナを持ち、例えば食事のお店も店構えからメニューまで、何がそのゲストにフィットするのかを知り尽くしてるんです。

 そんな見識?のおかげで僕が連れて行ってもらって縁ができたお店が、北新地にほど近いTです。タレントさんをこっそり連れて行けるような静かな店で、料理もワインも的確でリーズナブル、ぜひプライベートでも行きたい!こんな出会いもまさに塚本さんの、明るいコミュニケーション術を駆使したキャラクターがゆえなんです。

 映画に限ったことではないんですが、パブリシティとかプロモーションという活動には決まったマニュアルはありません。何をパブするのか、いつ誰にパブすれば良いのか、正しい解答などあるはずもありません。そこを身体のズイまでしみこませた百戦錬磨の経験と、その独特なパブセンスで関西地区での興行成績を毎回引き上げていましたね。塚本さんの初対面のタレントまでも引き込む話術に、年に一度は接することができるのが個人的な楽しみでもあったのです。

 そんな塚本さんがこの4月から異動で、なんと23年にわたる宣伝担当を替わられることになったそうです。数々のご指導や叱咤激励、本当にありがとうございました。というわけでこれからは春だけでなくいつでも必要な時に、その眼識をコナンチームに向けて発信して下さいね。そのためなら季節関係なく何時でも北新地方面にお伺いしますから…、あ、じゃなくてまずは仕事場にお伺いします、ですよね。