• 『アニ民283人目』アニメーション監督の大地丙太郎さん
  • 『アニ民283人目』アニメーション監督の大地丙太郎さん

  • 2016.08.25
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今週のアニ民はアニメーション監督の大地丙太郎(あきたろう)さんです。大地さんのことを初めて知ったのはあの神谷明さんから紹介してもらったからですが、それは今世紀初めのころだった気がします。それ以降、大きなパーティで少し挨拶をする程度ではありましたが、大地さんの生み出す作品エネルギーにはいつも一種のあこがれを持っていました。

最近作「とんかつDJアゲ太郎」は、非常に気になった作品でした。原作の持つあの脱力感あふれるキャラクターがすでに飛び道具のような武器でしたが、その絵が映像として動き音が入りリズムが刻まれると、えもいわれぬ大地さんワールドになるのです。出演者によるとアフレコ時にはすでに映像に大地さんがそれぞれのキャラクターを演じ分けた声が入っているそうです。大地さんはこれを“Vコンテ=ビデオコンテ”と呼んでますが、実際に絵をつなげてリズムをつくり声を入れるなんていう作業、いったいどれほどの手間と時間がかかるのか、考えただけでゾッとします。

このほど8月24日と31日放送する文化放送超A&G「スワラジ」に出演いただきました。小学校2年生の時に赤塚不二夫「おそ松くん」に出会ったのがもっとも衝撃的だったそうで、そういう記憶に残ったという時期の早さにも驚きますよね。アニ民アタマの写真はそのスタジオで撮影したもの、右はアシスタントの祖山桃子さん。

「スワラジ」に出演いただいてお聞きした話の中で一番印象に残ったのが作品のエンディング(=ED)曲話です。大地さんはタイアップなどアニメ作品にはどうしても必要な要素はいろいろあるけど、オープニング曲じゃなくてED曲には思い切りこだわると言い切ります。事実ED曲は数多く作詞もされてるということで、自分の作品を締めくくる世界観つくりには労力を惜しまない姿には拍手ですね。ラスト映像に重なりED曲イントロが重なってくるしびれ方にもこだわって、この手法はアニメ作品では新しいし珍しいだろ、と思ったところ実はボクが手がけたアニメ「シティーハンター」ED曲「GET WILD」で先にやっていてそれを知ってがっかりした、なんて話してくれました。

数々の大地さん監督作品がありますが、やっぱり「おじゃる丸」ですかね。なんと来年20年目だそうで、ここは「名探偵コナン」がちょっと先輩にあたります。年間の放送スケジュールを確立し、番組にとって良いリズムで制作を継続していく。さすがはNHKですよね、作品にとってのひとつの理想がここにあります。そしてそれは大地監督はじめすべてのスタッフが支えていること。20年、本当におめでとうございます!

先日、ようやくかなった少人数食事会には黒い着物で登場した大地さん、まあ先輩的年齢にフィットしてるのはもちろんですがとにかくカッコいい。オトナのというよりクリエイターのダンディズムという感じがプンプンにおってステキです。ボクはいつものようにずっとワインですが大地さんは最初からバーボンウィスキー。FBで大地さんがよく書かれている街並み散歩の話から、アニメ制作のスタイル話まで2軒通してあっという間の5時間でした。

ギャグのすべては「間」にあるという大地さん。その間を作るために大げさでなく命を削って取り組む姿を改めて感じました。いろんな作品を手掛けてますが、アゲ太郎の次は「信長の忍び」。このキレた天然の主人公(女の子)千鳥を、はてさて監督はどう料理をしていくのか、すごく楽しみ。というわけでここでヒラに大地さんにお願いをいたしておきます。将来どこかで絶対一緒に作品つくりをさせて下さいませ。