• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民95人目
  • 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民95人目

  • 2011.06.16

 今週は声優の田中秀幸さんです。

 あの穏やかな大人の声はどうやったら出せるのでしょうね。ここでは田中秀幸さんを、いつものように秀幸さんと呼ばせてもらいます。秀幸さんに初めて会ったのは1987年3月「シティーハンター」のアフレコ収録です。役名は槇村秀幸、そうなんです、北条先生の原作には“槇村”としか無かったので、先生の了解を得て田中さんのお名前を使わせてもらったのです。

 「シティーハンター」は主人公・冴羽撩(ホントはケモノへん、この文字には25年ずっと苦労してます)が、その2枚目と3枚目のキャラクターを縦横無尽に生かしてお送りするアクションコメディーサスペンスアニメです。そのサスペンス設定の根っこを担うのがこの槇村。アニメでは第5話で死んでしまうのですが、主人公をして親友・槇村秀幸を忘れたことは1度も無いと思われる存在。まあパートナーであるヒロイン・香の兄であるということも大きいのですが。

 この槇村がもう本当にオトナ!完成されているキャラっていうのはこーゆーことを言うんだよな。秀幸さんはそのシブくかっこいいオトナを見事に演じてくれました。なのにあんまり早くいなくなっちゃったのが惜しくて、僕は脚本家の遠藤明範さんの手を借りて槇村の思い出を描くオリジナルエピソードを作ったほど。「シティーハンター2」第27話28話「槇村からのメッセージ 想い出は永遠に(前後編)」がそうなんですよ。久しぶりにアフレコしてもらった秀幸さんのおかげで、思い出話としては異色なほど槇村がキャラとして立ったステキなお話になりました。

 「魔法騎士レイアース」では主人公・獅堂光の巨大な魔神レイアースを演じてもらったし、「金田一少年の事件簿」でも犯人役などでお世話になっていましたが、なんていっても今は「名探偵コナン」主人公・江戸川コナン=工藤新一の父親・工藤優作であります。彼の存在でみなさんが一番印象に残っているのは、映画「名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊」でしょうか。絶対泣かないはずのコナン君が、列車の屋上で蘭をもなくし、唯一泣き言めいたあきらめをつぶやいたのは父親である優作に対してでした。父親と息子の関係を極めようとした故野沢尚さんの脚本に応えるかのような高山みなみさんと秀幸さんが秀逸でしたね。

 その秀幸さん=優作が快調放送中のロンドン編「ホームズの黙示録」最終話で久しぶりにそのダンディなキャラクターを見せてくれます。おや?奇しくも映画とはロンドンつながりですね。そーゆー意味でもこのロンドン編は見逃せませんね。

 実は僕がコナンで秀幸さんで一番記憶に残ってるのが「仮面ヤイバー」であります。えっ?意味がわからないって?たまーに劇中でも使われる「仮面ヤイバー」のテーマ曲のセリフ部分が秀幸さんなんです。これがカッコ良いんだなまたぁ。この楽曲はあの大野克夫さんの力作キャラクターソングアルバム「名探偵コナン 帝丹小学校に全員集合!!」に収録されてますよ。

 とにかく槇村といい優作といいめったに登場しないキャラクターなのに、主人公が乗り越えられない何かを持つ強いイメージを残してくれる秀幸さん。これからはもうちょっと頻繁に出てくるキャラをお願いしなくちゃ、ですよね。そうじゃないとせっかく同じ沿線に住んでいても、食事のあと一緒に帰れませんもの。