• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民103人目
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  • 2011.08.18

 今週は朝日新聞記者・小原篤さんです。 

 アニメ担当というより、サブカルチャー担当と言ったほうがいい小原さんと初めて出会ったのはまだ20世紀、おそらく1999年ごろでしたよね。

 僕たちアニメーション制作のスタッフは当たり前に全力で作品を創り上げます。その作品の面白さに創り手側は最高レベルの自信と責任を持って、視聴者や受け手のみなさんにお届けするわけです。そのためには数々の工夫を凝らしたプロモーション活動をします。その際にその面白さをきちんとした理解を持って、必要ならばその表現をも変えて伝えるといった人物が必要となるのです。

 そして小原記者はアニメ界を伝える役目を担う新聞界の第一人者です。僕も何度か取材してもらってますが、テーマとなる作品に対する理解を持った上での評は的確なものがあります。僕は他人の作品など小原さんが書いているかどうか、そしてその内容を新聞紙上でかなり気にしてみています。

 だいたい小原さんという人は心からアニメが好きなんですね。本当によく見ているし研究してます。どんな取材でも文章する場合はまず事実や必要事項は書き込まなくちゃいけませんが、小原さんのはその後半や結論というか最終文章には、ご本人の肉声や本音が聞こえることが多いのが特徴ですか。そこがちょっとした個性あるハナレワザでアニメ界にとってすごく大切なものとなってる気がします。

 朝日新聞のHPに小原さんが書いている「アニマゲ丼」は2007年11月からの連載ですが、本当は出会った頃からこの手の記事を書いていたんですよね。正直に告白しますとこのアニメ日記はアニマゲ丼を意識してます。でもどうしても基礎となる知識や文章力の違いが激しく、“シャープで理知的な小原さん”に対して“ゆるく体感的なスワッチ”的な文章になっていることはいなめません。でも良いお手本を見ながら、各出版媒体社のみなさまにそしてアニメを受けとめてくれるお客さまに、少しでもわれわれ送り手側の素顔をお伝えしようとがんばるしかありませんよね。

 最近は「片山雅博さん[79]を偲ぶ会」でお会いしましたね。お互い本当に楽しくも頼もしい人を亡くしたものです。片山さんに誘って貰ったのが「日本アニメーション協会」。小原さんも会社勤めでありながらこのアニメーション協会会員になっているので僕と立場が一緒です。

 昨年から名古屋に転勤されてた小原さん。そういえば9年ほど前には福岡にも勤務されてたんですよね。けっこう目まぐるしく異動されてますが、もうどこで働こうと朝日新聞のサブカル分野に必ず署名記事を書かれてます。そしてそれが業界の僕たちを安心させます。なのでこれからも新しく何かを始めようとする時には必ず声をかけて、自分たちのやりたいことを精一杯お伝えします。そしてその後に出てくるだろう小原記者の記事をおっかなびっくり待ちます。その記事がおそらく僕たちの作品の航海にとって灯台の役目をしてくれるでしょうから。