• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民106人目
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  • 2011.09.01

 今週は声優の故滝口順平さんです。

 残念なことにまた訃報が届いてのアニ民になってしまいました。もう忘れようにも忘れられない名キャラクター「ドクロベエ」は、その100万通り(冗談ですが)もあるかという登場の仕方も含めて、僕にとって滝口さんそのものです。

 滝口さんに初めて出会ったのはもちろんYTVが手がけることになった新「ヤッターマン」から。実は「タイムボカンシリーズ」オリジナルをずっと制作してきたタツノコプロと、最初に話題になったのが声優の件。最初のヤッターマンから30年を超えて、ドロンジョ、ボヤッキー、トンズラー にドクロベエも加えた4悪をどうしましょうか、という案件。“そりゃあ人間がやることだし、体力的健康的な問題があったら仕方ないけど、そうじゃなくて本人の意欲があれば全然お願いしましょうよ”などの意見交換の後、当然のように4人に快諾いただき、見事な番組のスタートを切ることが出来ました。

 小原乃梨子さん、八奈見乗児さん、たてかべ哲也さん、そして滝口順平さん。番組スタート時にはこの4悪役者で合わせて300歳を超えてることが話題になりましたよね。30年を超えてますますお達者というか円熟の境地の演技の応酬に、スタジオのガラス越しに言わば人間国宝たちの技を堪能させてもらってた毎週でした。さらにあの決めゼリフとともに毎回味のあるドクロベエを熱演してくれた滝口さん。番組の後半には孫にあたるキャラクター「ドクボン」が登場、ドクロベエのドクボンに対するカワイがり方に滝口さん自身を重ねていたのは僕だけじゃあないはず。

 そしてやはり記憶に残るのが日テレ土曜日朝9時30分「ぶらり途中下車の旅」のナレーションでしょう。番組開始から1000回近くも務めていらして、もはや土曜の朝の声でした。番組の演出意図もあるのでしょうが、旅する人の行動や会話にナレーターとして掛け合っていくなんて離れ業はちょっとマネできるものではありません。

 あはぁっ!の一言で旅する人とTVを見る視聴者を結びつけてしまう天才でした。

 ぶらりもお休みになってたある時期、ヤッターマンでもちょっと体調がすぐれないのかな?と思ったアフレコがありました。でもちょっと調子に乗ったドクロベエの映像を見るや、見事に元気な腹黒いドクロベエを演じ切り、ステキに満面な笑顔を見せてくれたことがありました。順平さん自身が押し出す、ドクロベエというキャラクターの強さを再認識させてもらったその瞬間を忘れることができません。

 ドクロベエの名セリフ「お仕置きだべぇ〜」でお仕置きされてた3悪は明らかに?そのお仕置きを楽しんでいました。そしてそのお仕置きをスタッフみんなも欲しがっていたのに違いありません。少なくとも直接言われたかった感じ。まあるい笑顔で「最近少し弱くなったけど、お酒も大好きなんだよ」っておっしゃってた順平さん。ワインの話には興味を持ってもらえませんでしたが、もう少し一緒にお酒を飲みたかったなあ。享年80歳。心よりご冥福をお祈りいたします。