『アニ民272人目』キャスティング担当の大山恵子さん

　今週のアニ民は東映東京撮影所でキャスティングを担当している大山恵子さんです。似た仕事をしている方は何人かいますが、大山さんのようにキャステイング専任という立場はちょっと珍しく、この日記でも初めての肩書きになりますね。

　大山さんに初めて出会ったのは前回の里紗ちゃんと同じように2014年の「金田一少年の事件簿R」シリーズの第1話アフレコの時から。その時はボクとは30年くらいお付き合いいただいいて、大山さんにとっては大先輩・吉田理保子さん（＝アニ民235人目）とタッグを組んでいました。ご存知のように金田一Rははじめちゃんや美雪役の松野太紀さんや中川亜紀子さんはいつも登場するレギュラーメンバーなんですよね。で、その事件ごとに登場するゲストメンバーは毎回違い、その時ごとのキャラクターにどう合わせてキャステイングするかが最もわかりやすく重要な仕事になっていきます。それからトータル2年以上、金田一Rを思い切り支えてきてくれたキャスト表を見ながら、大山さんにいろいろ話を聞いてみました。

　そもそも東京出身の大山さんは撮影所近くに自宅があったのと、弟がいた事もあって「キン肉マン」「北斗の拳」など男子アニメにも興味を持ち、戦隊モノや金田一も見てたって。そんな大山さんも就活には苦労してたそうで、そんな頃出会ったのが、撮影所でのイベントバイトの話。それがきっかけで、撮影所の方から誘いを受け、今の上司である、東映東京撮影所で長年キャスティングプロデューサーをやっている福岡康裕さんと出会い、演技事務と言う仕事をすることになりました。演技事務とは、一つの作品において、主役からエキストラまですべてのキャストのスケジュールを管理し、現場でもそのキャストのケアをする仕事です。やってみるとかなりな苦労があったそうですが、それから実写映像のキャステイングを少しずつ任されるようになって、様々な現場を重ねていって自分のスタイルを徐々に確立していった大山さん。でも、アニメのキャステイングをやってみないか、と言われた時には正直戸惑ったそうです。映像だとキャストその人そのものが、お芝居を通して形になるのが当たり前。でもアニメだとキャラは映像としてもう決まっているので、役者の見た目だけでは決して判断できないしそこは本当に難しい。

　でも逆にそこが面白くなったと大山さん。前回のシリーズはアニメを始めたばかりのタイミングで、先輩・吉田理保子さんと二人であらゆるパターンからベストをチョイスしてきましたよね。ボクも記憶にあるのが「速水玲香招かれざる客」のゲストキャラ・朽沼末吉＝モロ師岡さんのキャステイング。変わったキャラを見事にベテラン俳優が演じ、コミカルで軽めな作品に見事な良い重しとなっていました。

　というわけで今回は初めて単独でキャステイングに挑戦。というわけで、デモテープやプロフィール、過去の出会った経験などから、この人ならこのキャラをどう演じるだろうというのを想像していくキャステイング作業を繰り返したそうです。昨年末の1時間スペシャル「明智警部の事件簿」小林竜太郎役千葉雄大さんは記憶に新しいですよね。金田一Rの場合は取り掛かる作業はまず「犯人を誰にするか？」そしてそこから周りを固めていく。意外なキャストでもそれ以上に大きな化学変化を楽しむ、そんな事もあって面白いコラボを手がけてみたい、と今後の抱負を語ってくれました。

　さて、そんな「金田一少年の事件簿R」残りがあと少しですが、はじめちゃんや美雪の青い青春時代も描かれた最終シリーズ「狐火流し殺人事件」も好調に推移。大山さんら東映アニメスタッフのおかげもあって、今回もこれまでも「金田一Rのキャストはものすごく豪華」などとネットでも大評判で、今回もしてやったり、のキャスト陣です。大山さん、どうかこれからも大御所東映アニメの作品のみならず、このアニメ業界に面白く大胆にステキなキャステイングでどんどん一石を投じていって下さいね。