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初コラボ!コナンと海老蔵
- 2016.01.07
みなさま、今年の暖かいお正月はいかがでしたか?とはいっても南北に長い日本列島、いろんなお正月があったと思います。それぞれの個人個人の想いが少しづつでも重なって、一つの大きな願いとしてみんなのHAPPYとして結実する、そんな2016年にしたいと思いますし、そうなるといいですね。冒頭の写真は恒例初日の出。羽田空港に隣接した公園から撮影しました。
さあいよいよやって来ました!1月9日土曜夕方5時30分「名探偵コナンスペシャル コナンと海老蔵 歌舞伎十八番ミステリー(前編)」そして16日がその後編、のお話をさせて下さい。1996年1月8日夜7時30分から放送スタートしたTVアニメ「名探偵コナン」(冒頭2枚目の写真は当時の番宣ポスター)。この1月の放送でちょうど20周年を迎えることが出来ました。これもひとえにTVの前でコナンを応援してくてくれた視聴者のみなさまのおかげです。その応援にどのような感謝で応えようか、実は一昨年の夏くらいからずっと考え動いてきました。帯に短しタスキに長しとか、もう一つ具体性に欠けるとか、いろんな企画案を出しては潰し潰されを繰り返し、ひところは「もう粛々とレギュラーをちゃんと維持できればそれでいいや」という気持ちにもなった事がありました。
そんな際に出会ったのがずっとお付き合いしているベテランの女性声優さん。きっかけは普段の会話のひょんなことからなのですが、松竹のプロデューサー(=小林敬宜さん)を紹介してくれるというのです。松竹と言えば大手映画会社ですが、その前に歌舞伎などの日本の伝統的な芸能興行を手がけている会社でもあります。それだけにボクにはほとんど縁がなかったのですが、今回お世話になった松竹の小林Pが、わざわざ汐留のYTV東京支社に来てくれたのは一昨年のまだ秋でしたっけ。
初対面だった小林Pと「名探偵コナン」20周年と花形歌舞伎俳優・市川海老蔵さんのコラボが俎上に上がったのはそれからすぐの事でした。最近はどんな事でもそうですがこの企画は特に大きく、進めるには数々の難題を超えなくてはならないことは明白でした。まず原作者・青山先生のご理解は得たのですが、その先は小林Pとその上司・亀井さんの協力、そして何より制作会社TMS石山Pや寺島Pの協力無しにはスタートさえできなかったでしょう。さらにYTV編成の了承も得て、今回の1時間スペシャル前後編という離れ業のような番組編成をすることが出来ました。
実際に企画を進めていくにあたって、まずはシナリオの開発です。これもまた企画を左右させるような紆余曲折あって、最終的に「名探偵コナン」第一話を手がけてもらった脚本家・柏原さんにお願いする事ができました。そして山本監督や文芸・飯岡さん、TMS文芸チームらとシナリオ会議を重ねて「名探偵コナンスペシャル コナンと海老蔵 歌舞伎十八番ミステリー(前後編)」のシナリオが完成したのです。そして絵コンテ・演出はあの「ルパン三世vs名探偵コナン」のSPと映画も手がけた亀垣さん。これはもう面白くないわけがありません。とにかく内容に関しては絶対見ていただくとして、今回は前々回の金田一Rに出演してくれた千葉雄大さんの時の日記のように、アニ民代わりに市川海老蔵さんのアフレコの時の様子をお伝えしたいと思います。
実は日本文化を代表する歌舞伎俳優・市川海老蔵さんが、アニメ出演のオファーを受けてくれる事、これがまず最初の難関でした。もちろんこれは小林Pほか松竹さんのお力に寄るところですが、こちらとしてもコナンが歌舞伎界を取り上げる事が、お互いにどんなメリットがあるかを説いていかなくてはなりません。それは今回のSPがどんなストーリーになり、海老蔵さんにとっても、歌舞伎界にとっても良いイメージになることを伝えることです。とは言ってもコナンは殺人事件を含むミステリーなので、内容として差しさわりがある部分はいただいた条件をクリアすることにし、結局海老蔵さんには海老蔵さん本人のキャラクターがコナン世界に登場するという事で快諾いただけたのです。
その海老蔵さんにまずはアフレコ収録をお願いしなければならないのですが、このスケジュール取りがまた大変でした。超多忙な海老蔵さんのスケジュールは実は半年くらい前におさえないともらえません。そしてその日程を目指していろんな作業を重ねていくことになります。みなさんわかると思いますが、1時間スペシャル前後編という約2時間の作品なんてもはや劇場版なみであります。山本監督や亀垣さんはじめ多くのコナンアニメスタッフが、血のにじむようながんばりをしてくれた事をここに感謝を込めて記させていただきます。
アフレコ当日11時にやって来た海老蔵さんはTシャツに短パンというすごくラフなスタイルでした。ワイルドに少し日焼けして、姿勢も素晴らしく良くとにかくカッコいいというのが第一印象。監督と音響監督との打ち合わせを簡単にした後、「アニメ声優初挑戦なのでいくつか不安もありますが、がんばってみますのでさっさとやっていきましょう!」と午前中からパワー全開状態でした。特に一番最初に収録したのがコナン正月恒例あけおめ挨拶。ボクはこの時ほどこのアフレコに立ち会ってて良かったなと思った事はありません。当たり前ですがその口上があまりにホンモノであり、聞いててオーラがこぼれると言うか、すこぶる縁起の良い物と感じられるんですね。海老蔵さんにとってはほぼ毎日やってるような見得や口上でしょうが、やはりバックボーンに何か日本文化を背負ってる気概みたいなものがあると言う事でしょう。
正直言ってセリフを多くしすぎたかも?と思っていたボクたちスタッフが驚く程、エンジンかかった海老蔵さんはスムーズに演じていってくれました。ここでは海老蔵さんは海老蔵さん本人を自然に演じてる、くらいしかお話しできませんが、特に聞き逃してはならないのが前編の後半部分で車の中でコナンに向かって言うセリフです。これはちょっと嬉しいような恥ずかしいような…とにかく見逃さず聞き逃さないようにして下さいね。
海老蔵さんはコナン出演に関してこんな感想を話してくれています。
「今までアフレコというものをやった事がなかったし、前日は不安しかなかったですね。でも、すごく勉強になりました。声の仕事はニュアンスがすごく大事で、結構音楽性があるんだと思いました。声優さんたちの日頃の苦しみというか、戦いという部分が何となく感じられて、我々とは違う世界があるんだと強く感じました。ただ今回は本人役で、歌舞伎十八番の『七つ面』が題材と聞いた時に、これは引き受けざるを得ないなという気持ちになりました。コナンのお仕事としても、歌舞伎のお仕事としても2つの方面で良いお話を頂戴したと思いました。今回の事件は歌舞伎ミステリーという事で、誰が犯人か分からないですし、もしかしたら僕が犯人かもしれない…。新年早々、みんなで謎解きを楽しんでもらいたいですし、その中でプラスα、歌舞伎の事もちょっと知ってもらって、そして興味を持って頂けると嬉しいですね!」
約2時間分のアフレコが終わったのが夕方6時。実は海老蔵さんのアフレコには2日にわたるスケジュールを用意しておいたのです。それが見事に普通の声優さんレベルでの収録となりました。さすがに大きな発声を生業とする役者さんとしか言いようがありません。しかもこの間休憩時間無しのぶっ通し収録。食事などの休憩時間を提案したのですが、打ち合わせ時間が休憩としてで充分、とにかくさっさとやってしまいましょうとご本人。声出してる海老蔵さんもさる事ながら、周りのスタッフも大変ですが、4時間以上の歌舞伎公演を一日2回こなしているという、ものすごい体力をそこに強く感じられました。
それから二日後の取材日にパリッとしたスーツ姿で登場した海老蔵さん。この日も予定してた案件を全部こなしてくれて、その使用時間は想定してた半分に近い状態。日常から何事にも集中して全力投球している所以でしょうか。海老蔵さんと何回か会話できた中で本当にマンガやアニメを好きな事がわかって、それが今回のスペシャルの成功を裏付けてくれてるような気がして、ボクとしてはそれが何よりも嬉しい事でした。アニメコナン史上初めてとなる1時間スペシャル前後編、ぜひオンタイムで推理しながらお楽しみ下さい。ビックリするような方々の応援メッセージもありますよ~。
1月11日月曜深夜「スワラジ」先週までの高山みなみさんに続いて、ゲストは山崎和佳奈さん・松井菜桜子さん・日髙のり子さんの3人が登場!そうです、年末にアイドルデビューしたバックドロップスのメンバーでもあります。実はボクはそのデビューステージを後楽園ホールまで見に行ってきました。それは素晴らしい歌唱とダンス、ホント一段階上の感動モノでしたよ~。まあとにかくその歌もお聞かせしますし、デビューの経緯などもいっぱいお話ししますのでこちらも絶対お聴き逃しなく!それにしても青山先生、「名探偵コナン」88巻151ページにガールズバンドとしてこの3人を登場させてるんですよね。それがこんな形で実現!本来お願いしたかった20周年コナンのJKトリオ談義ももちろん、2週にわたってたっぷりのトークをじっくり味わって下さいませ。
ふう~、長い文章に付き合っていただき本当にありがとうございました。今年のアニメ日記もこんな感じで楽しく前向きにがんばっていきますので、どうか毎回お読みいただきぜひご声援をいただけますよう、よろしくお願いいたします。次回のアニメ日記は1月21日アップの予定です。