• 『アニ民268人目』声優の沢城みゆきさん
  • 『アニ民268人目』声優の沢城みゆきさん

  • 2015.12.10

 今週のアニ民は声優の沢城みゆきさんです。それまでもお名前はよく聞いていましたが、ボクが初めて沢城さんに会ったのは2010年から不定期に放送した「まじっく快斗」小泉紅子役の時。第一印象は見た目もあって「いいとこのお嬢さまなんだろな」と思った記憶があります。

 その後も何かと縁があり、今回「金田一少年の事件簿R 薔薇十字館殺人事件」シリーズに出演いただくにあたって、久しぶりにお話しができました。小さい頃は、ご本人いわく「教室で“青い鳥文庫”や“クレヨン王国シリーズ”を一人読んでいるような子」。いわゆる世間の流行など一切気にせず、周りで「SMAPの『セロリ』がいいよね~」って言ってても興味なし。小学校4年からピアノを習っていたので、お昼はピアノ、休憩時間は読書、だったって。どうにも孤高の女生徒だけど、「流行が気になる、ならないはともかく、好きで見ていたドラマくらいあるでしょ?」と食い下がったら出てきたタイトルが、なんと「金田一少年の事件簿」!堂本剛さんの時のドラマだったんです。BGMもキャッチーでドキドキして見ていた、と聞いて、ここはちょっと嬉しかったりして。

 そんな東京都の女の子だった沢城さんが小学校高学年の時に出会ったアニメが「るろうに剣心」。ビデオにとってまで見るようになり、それがジャンプに連載されてることを知り、初めて自分でコンビニで「少年ジャンプ」を買うという行動にでたそうな。後で思えば「アニメ剣心にはとんでもないスタッフやキャストが揃っていて、そりゃ見るわな、そして出会って良かったな」ということだそうです。

 そこそこなんでもできる子だったのが、その中途半端さを怒られたり…かえって心の負担になり、一番になれる場所は?と探してた沢城さん。その想いは、教科書が綺麗なまま残っているような、面白い教育をしてくれた小学校の先生の指導の下で、自分たちでがんばった学芸会経験に至ります。自分が一番「目立つこと」が「怒られないコト」だと思ったそうです。そして転機は13歳の時にアニメ「デ・ジ・キャラット」のオーディションを受けて訪れます。なんと審査員特別賞を受賞、主人公の妹役を演じることになるのだから、人生はわかりませんね。潜在的な実力がシンデレラの地位を射止めたとしか言いようがない。さらにここで出てくる人の名前が、当時ブロッコリーの木谷高明さん。このアニ民にも登場いただいてる木谷さんは確か、三森すずこさんの人生にも関わっていました。まだ中学生だった沢城さんを会社預かりとして両親にも話してくれて、そのまま仕事を継続出来るようになるわけです。

 それから仕事に並行して演技の勉強も続けて、この業界での地位を得るのですが、その後でボクが聞きたかったのは二つ。まず一つ目、「まじっく快斗」の思い出ですが、ちょっと面白い感想でした。「だいたいの女の子は、一度は山口勝平さんに恋してきてます。自分に勝平さんの相手役がやれたんだ、と思うとあの作品ばかりは今も思い出すとニヤニヤしてしまう」だって。ちなみにかっぺ~ちゃんには「ギャラクシーエンジェル」の時も芝居のキャッチボールというものを教わったそうですよ。

 そしてもう一つが「ルパン三世」の峰不二子役のコトです。「オーディション受ける時は、この先40年走る事を前提に、ルパンという作品の中で自分が大切にしてきたものを明確にしながらも、イメージ的に増山さんを踏襲していくように稽古しました」。それが2013年秋にアフレコした「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」につながった事は、ボクにとってもすごく大きな感謝です。

 さて「金田一少年の事件簿R 薔薇十字館殺人事件」であります。このアニ民をリリースする頃には5週連続の最終回直前になっています。珍しく前話までに犯人がわかっちゃうパターンです。というわけで沢城さんには月読ジゼルという薔薇にちなんだ犯罪を犯す犯人を演じてもらいました。その犯行理由などを沢城さんの演技を通してぜひ見てもらいたいのですが、「被害者でもある自分がなぜこんな犯罪を犯したのか?今回のストーリーの中に、母親の死の真相を追う、言ってみればジゼルが探偵の面もあり、ラストにモノローグでも一人の女の子として自分の感情を吐露できて良かった」そうですよ。

 役者として声優としてアブラが乗り切っているといった感じの沢城さん。最初にいいとこのお嬢様なんていう表面しか見抜けなかった自分が恥ずかしいです。流行が気にならないなんて、なかなか他の人には無い発想で自分の道をひた走っていくその実力は、さらに高いレベルになっていくのでしょう。夢は東京オリンピックの頃にはスポーツナレーションをしているコト、だとサラりと言ってのける、やはりすごい。でもどうか、これからも演じるキャラクターを通してだけではなく沢城さん自身の意思も通して、このまま以上のエネルギーをアニメーションにもずっと注入していって下さいね。