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『アニ民264人目』「金田一少年の事件簿R」シリーズディレクターの池田洋子さん
- 2015.10.15
今回のアニ民は「金田一少年の事件簿R」シリーズディレクター、池田洋子さんです。池田さんと初めて会ったのがシナリオ会議の席。今回のシリーズのシナリオ会議が始まったばかりのタイミングで清水慎治プロデューサーに紹介いただきました。前シリーズのツッチーこと土田豊監督が別作品に取りかかっていてスケジュールがとれず、東映アニメの精鋭の中で白羽の矢が立ったんですね。
初めて会話した印象は、話し方が静かですごく落ち着いて頼もしい感じ。制作上のいろんなアクシデントも全然気にせずどんとこい、といった大きさを感じます。とは言っても大きなタイトルだし、初めて言われた時には「長く続いている作品に、私でいいの?」って思ったそうです。
そんな池田さんは岩手県盛岡市の出身で、シナリオライターを目標に上京、最初の5年は法律関係専門の出版社で営業してたそうです。仕事をしていても目標をあきらめきれず、新聞で当時の東映動画の求人を見つけて中途で応募した、というからこれも本当に縁なんですね。その求人広告、そんなに広い地域に出していなかったそうですから。入社して最初の仕事が映画「ドラゴンボール」のカッティング前の線どりコピー。シナリオ志望だったのですが、演出助手をしていてその面白さに気づいて演出方面に向かうことになります。演出デビュー作「あずみマンマミーア」、シリーズディレクターデビュー作「ねぎぼうずのあさたろう」。「ワンピース」や「スイートプリキュア」シリーズも多く手掛けてるそうですよ。
アフレコ後の打ち上げではニコニコしながら静かに飲んでいるタイプ。その仕事ぶりがなんとなくベールに包まれている気がするのも金田一にピッタリかも。「続き物であるため、前後の話数との連携は必須ですが、反面、各話スタッフにはあまり枠にとらわれず発想して欲しいので、その辺がシリーズディレクターの役割と思ってます。金田一を楽しみにしている方々が期待するはじめちゃんの世界を守りつつ、新しい見せ方も取り入れていきたい。」と意気込みを語る池田さん。番組のOPもEDも大好評ですが、「OPは事件のシリーズごとに差し込む映像を変えてます。ネタバレは気をつけながらも2.3話先の映像も使用しているので実写のサスペンスを見るように楽しんで下さい。EDは曲に合わせて淡いタッチの画面にしてみました。水彩風の処理がステキでしょ。美雪の動きや心情を出すためにスタッフと一緒にいろいろ工夫してみたんですよ」女性らしいしなやかでステキな演出がボクも大好きです。
実は1999年8月に公開された映画「金田一少年の事件簿2 殺戮のディープブルー」では助監督として参加してたそうで、今回、金田一では初めての女性監督として現場に入ってもらいました。そしてもう半年以上になります。金田一ミステリーの特徴である計算され尽くしたトリックやストーリーを、なめらかでデリケートな手さばきで見る人たちの前に披露する。そんな見事な手腕のリズムが視聴者のみならず、一緒に活動してるボクらスタッフにも浸透してきて、明らかに「新しい金田一」を形成してくれてる気がします。とにかく「金田一少年の事件簿R」はまだ始まったばかり。どうかこれからもずっとしっとりしなやかに番組を支えていって下さいね。