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『アニメ村のステキな住民たち』アニ民133人目
- 2012.03.15
今週のアニ民はMBS東京支社編成局チーフ・プロデューサー 竹田青滋(青は旧字体です)さんです。ちょっといろいろ思うトコロもあって竹田さんのことを書きますが、局は違えどかなり同じ立場なので書きながら微妙に肩にチカラが入るのを感じます。
竹田さんの名前はお会いするかなり前から知っていました。聞くところによるとアニメ制作に携わる歴史はまだ10年くらいだそうですが、この業界に対するくい込み感はそんなもんじゃない気がします。
僕は正直言って竹田さんにジェラシーを感じています。属する組織が違うので一概に言えないし、自分の力量や小心さを暴露するようですが、プロデューサーとしてかくあるべき姿の一面を竹田さんに感じています。それが担当する作品のヒットにつながったりしているのを目の当たりにすると、今のゆるいぬるい自分にガマンならない感覚に捕らわれたりするのです。
ずいぶん前ですが角川書店発行ニュータイプ誌で竹田さんと対談させてもらったコトがありました。基本的にお互いの意見は交わらないタイプと思っていますが、アニメ制作における精神論なぞで話し合い、もし切っ先が触れ合ったりしたらこれはかなわないかも、と感じたことは事実です。
竹田さんが携わってきた作品には総じて思想を感じます。おそらく企画成立までの過程にその企画意義みたいなものをトコトン話し合う、その際幾ばくかの竹田さんキャラ紛れがそーゆー匂いを感じさせるのでしょう。だいたい竹田さんの発言って何かにつけて引っかかることが多いようです。おそらく自覚してのコトと思いますが、その言下にトゲというか毒みたいなものをいつも忍ばせているという気がします。そしてそれはいつも何か社会とか国とか世論といった大きなモノに向かっている…。それが僕には絶対に出来ないことで…。うーん、勝手に一方から見てモノを言い過ぎかなあ。
今回のアニメミライで制作した4本の作品、それをMBSとYTVで2作づつ分け合って放送することになりました。これ今までに前例が無いことで、局をまたいだ壮大な?チャレンジであることもさながら、後乗りであるYTVに対しての昨年実績あるMBSの裁量が大きいことを表してもいます。そしてそれは結局竹田さんの存在だということになるでしょう。そう言えば僕がアニメミライに参加することを聞いた時「いよいよ諏訪ちゃんも本気になったか、いいこっちゃ。」と反応してくれたとか。
組織のメンバーである以上、その組織の利益を第一に考えることは当然ですが、目に見える利潤などが直接かかわらない場合にいかに業界にプラスになるのか、まず最初にそこをちゃんと考えることができる人はあまり多くはありません。送り手として自分の思うコトしたいコト、そして大義名分とか組織人であるとかいろいろあったりするし。そしてすべての作品はその芯がシンプルに見えたとしても、その背景には複雑なダーク色が溶け込んでいるものです。竹田さんの仕事からはそれを背負って感じさせない印象があります。
とにかく事態はYTVvsMBS(アニメ業界人として意識し過ぎ?)という構図はとうに乗り越えられ、既存のメディアそのものが唯一の大きさに感じられる状況が来ています。なのでTV局同士が手を繋げるとか繋げないとかじゃなく、一連の大きなウェーブとしてそれぞれ明るく面白いイメージを視聴者にふりかけていく。お互い自由にそんな風に感じられる存在でいけたらいいなあ。それには竹田青滋という人物に向かっての、僕自身死ぬほどのさらなる切磋琢磨が必要である事は、悔しいけれど間違いありません。