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『アニメ村のステキな住民たち』アニ民134人目
- 2012.03.22
今週は集英社代表取締役社長 堀内丸恵さんです。
堀内さんは小林よしのり原作「東大一直線」、秋本治原作「こちら葛飾区亀有公園前派出所」、の初代担当編集者であります。そして実は僕のアニメ制作人生の初期において欠かせることの出来ない人なんです。
お話は「シティーハンター」の企画段階の時期になります。1985年12月のことでしたか、それまで比較的順調に進んでいたTVシリーズアニメ企画に黄色信号が灯りました。理由はいろいろあるのですが、そのことにより僕と当時の上司 故森本さんは集英社に日参することになります。「これは市ヶ谷(当時のYTV東京支社近く)と神保町の地下鉄定期券が要るなあ」なんて森本さんが冗談をとばしたことさえありました。
途中からその少し前に出会った日本サンライズ 植田P[11]も加わり、この企画を通すため少年ジャンプの編集部に何度も通ったのですが、その際に対応してくれたのが当時の編集長 後藤さん、編集担当 堀江さん[67]、そして堀内さんでした。アニ民67にも書いたように、幾度目かの訪問の後に企画成立の最終的条件を提示され、それ故に怒涛の年末年始を過ごすことになるのですが、実はその際に堀内さんにこんなことを言われたことが忘れられません。「みんな諏訪さんのことは悪く思ってないようだから、本当に面白いシティーを作るようにがんばれば大丈夫だと思うよ」
まだ何も決まっていない状況で、外様な僕にこんな声をかけてくれたのは、たとえどんな気持ちでおっしゃってくれたにしろ、本当に嬉しく身体の芯からチカラが沸き起こった記憶があります。紆余曲折あったものの多くの人たちのおかげで「シティーハンター」はそれから大きな航海をすることになります。
その後も集英社におじゃまするたびに少年ジャンプだけでなく、例えばスーパージャンプ(今はグランドジャンプになってます)編集部で「相変わらずアニメ制作してます」ご挨拶したり、集英社の手塚賞赤塚賞パーティーで毎年お目にかかったり。そのいずれの時も堀内さんはステキに丸い笑顔をふりまいてくれました。
最近よくお付き合いするTDLの中村さんと堀内さんが、強い知り合いであることは1年以上前から聞いていて、どこかでご一緒できるといいですね、なんてお話ししているうちに堀内さんが集英社社長になられました。編集現場のたたき上げの人が会社トップになるなんて正直言って理想的で本当に素晴らしいことです。YTVも「ぬらりひょんの孫」「べるぜバブ」「ZETMAN」など次々と新しい集英社作品に出会い、素敵な歴史を重ねてきてます。
「出版にしろ放送にしろ社会の仕組みの変動が進み、かなり厳しい時代を迎えています。そこを突き進んでいくためにも、なかなかお会いすることは難しいのですがどうかこれからも可能な限りのコミュニケーションでご指導をお願いいたします!」なあんて、実は今直接お話しできちゃっています。念願かない四谷三丁目のシブいお店で堀内さん中村さん囲んで10人近い仲間と食事中。あ、そう言えばこのお二人の関係は会社組織を超えた30年を超える勉強会のメンバーだそうで、この席にはそのメンバーの一人NTVの土屋さんも同席、TVや出版のウラ話などで思いきり盛り上がりました。
というわけで「」の言い方はカタ過ぎますがそんな気持ちを下敷きに、堀内さんの人柄に包まれて、これからのアニメやマンガに対する志を改めて確認しながらも、お祝いのムートン‘82を心から味わうひととき…。本当にありがとうございました。