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『アニ民255人目』トムス・エンタテインメントの小林弘明プロデューサー
- 2015.06.25
今週のアニ民はトムス・エンタテインメントの小林弘明プロデューサーです。ここではいつものように小林さんの事をコバヤシ君と呼ばせてもらいます。
ボクがコバヤシ君と初めて会ったのは「魔法騎士レイアース」の時だったでしょうか。この世界に入ってコバヤシ君の初めての上司はレイアースの2代目プロデューサー吉岡さんだったと思います。吉岡さんの元気な指導はあるものの、当時から控え目というか相手に譲っているというか、かなり腰が低い態度は好感を持てるものの、この仕事に向いているのだろうか?と心配してしまいました。ただその態度は、本人のアニメーション作品制作に対する視野の長い展望があるがゆえ、と今では思っています。
コバヤシ君は「名探偵コナン」が、ほとんどスタートしたばかりの時からのスタッフです。制作進行からデスク、プロデューサーとコナンと共に大きく成長していったのは、横で見ていてすごく頼もしく感じていました。シナリオ会議とアフレコ作業、ほとんど週2回確実に会うパターンを10年以上は続けましたか。そしてそれが公私の「公」ならば、「私」の方もいろいろありましたよね。
これはもう21世紀初頭のこと、本当に滅多にない事なのですが、ボクが合コンの仕込みをした事があり、周りの独身のスタッフを集めて楽しい時間を過ごしたのです。そこで頑張った一人がコバヤシ君。それからしばらく何の話もなかったのに、ある時コバヤシ君に女性のカゲを感じ、それがどうもあの合コンに参加してたメンバーのひとりだったようで。うーん、やるなあ、と素直に感心、そして僕はめでたくキューピットになれたのですね。その後何度か3人で会ったりしましたが、仕事もプライベートもちゃんと自分のリズムを踏襲しているんだ、と思うと、人生の先輩なりに、彼を見直したりもしたものです。
コナンの制作プロデューサーを後輩に譲った後は、成長を続ける番組にありがちな、超複雑に膨れあがったコナン版権の仕事を一手に引き受けながらも、毎年開催されるコナン映画打ち上げパーティーやスタッフの集まりにはマメに参加してくれました。毎年映画アフレコ前に行うスタッフお祓いやプライベートなスタッフ旅行など、何度も何度も幹事として大活躍。僕らはいつもコバヤシ君の配慮に甘えてきちゃったんですよね。
そんなコバヤシ君がこの6月でトムス・エンタテインメントを退社する事になりました。地元の新潟で新たな人生を歩んでいく事にしたそうです。驚いたのが送別会の数と規模。みんな本当にコバヤシ君にお世話になったコトを身にしみて感じてるんだよなあ。そしてそれは僕にも人一倍ある感情です。本当に感謝しています。
TVコナンのクレジットでTMSを「東京ムービー」(YTVはよみうりテレビ)と表記していた時代、会社があった新井薬師前駅の周りでコバヤシ君や吉岡さんらとひたすら過ごしたあの10年以上の時間。それを色で表すとするのなら、やっぱり赤い色でしょうか。レイアースやコナンの色でもあるんですが、ボクらもやっぱり若く赤く燃えていたよね。コバヤシ君、もうお互いの記憶の中にしかない数々のキラキラ輝いたシーンを胸に、どうかこれからは強く自分を押し出して新たな人生を歩みだして下さい。そして今後も何があっても大丈夫!送別会の時に高山みなみさんが言ってたけど、コバヤシ君は永遠にコナンファミリーの一員なんですから。