• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民142人目
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  • 2012.05.24

 今週のアニ民は声優の伊倉一恵さんです。

 「シティーハンター」ヒロイン香をずっと演じてくれてる伊倉さんと初めて会ったのは、もちろんこの作品のオーディションの時、というわけで1987年1月も終わりの頃でしたか。ここではいつものようにいくらちゃん、と呼ばせてもらいます。

 激戦だったオーディションを勝ち抜いたいくらちゃん、その後何度となく「この香という役は私を呼んでた気がする」って話してくれました。それはずっとお付き合いしている僕が太鼓判をおしたいくらい、香というキャラクターといくらちゃんは一心同体な気がします。神谷明さん演じる主人公・冴羽リョウをパートナーに、田中秀幸さん演じる槇村秀幸を兄にもち、その舞台である世界・新宿をまさに自分の庭の如く明るく活動してきた香。運命宿命に対してただただ前向きな気持ちが、いくらちゃんにそのままかぶります。

 「シティーハンター」のパラレルワールドと位置づけられた「エンジェル・ハート」ではストーリー開始早々命を失う運命に、そしてその心臓が新しいヒロイン・香螢に移植され、新たにマーマとしてさらに永遠とも思える命を授かる。うーん、ここらへんもいくらちゃんの人生そのもののような風にも感じます。

 仕事にプライベートに本人が曰く“とんがりまくってる”っていういくらちゃん。僕が一番印象に残ったのが20年以上前。記憶によると四谷三丁目にあって、床が土間のようなBARというかラウンジというかナイトクラブのようなお店の出来事。真弓ねーさん[100]といくらちゃんと4人ぐらいで飲食を楽しんでたら、実はそこは当時珍しいタイプのカラオケが歌える店だったのです。本人たちは知っていたようで、イントロあって急に二人で立ち上がって歌ってくれたのがザ・ピーナッツ「恋のバカンス」。ああいう歌をプロの歌とでもいうのでしょうか、僕が知っているピーナッツがまんまそこで再現されていたのです。マジで上手い!

 というわけで歌唱力もすごいし、あの「サクラ大戦」でも見事な演技に何度も感心しています。それほどにまとうオーラはグレイトなのですが、実物は等身大のステキな女性であることもまごうこと無き真実です。ええ、それが女優というものなのでしょうね。先ほどの真弓ねーさんもそうですが、目の前の姿と舞台の上ではその本質キャラクターさえも違うのは役者として当たり前ですが、僕にとっていくらちゃんほどそれを教えてくれる人はいません。

 何かあればもしかしたら一人のか弱い女性なのに、僕の前にいつもいる香はやっぱり違う。多くの声優などの友人と共に、このギョーカイでとんがりまくったゴーカイないくらちゃん世界を確立出来てるのは、他の女性が苦手とするかもしれないような本人持ち前の強いキャラクターの由縁でしょう。

 最近のいくらちゃんの舞台は真弓ねーさん、竹田えりさん、高乃麗さんと4人での「コーネンキーズ」。なにもそんな直接的な名前を付けなくても、とは思いますがもうある域まで達してるこの人たちはいろいろ一味違う。その中でとんがってるいくらちゃんもいくらちゃんです。懐かしい歌ありお腹をよじるような笑いありそしてほろっとくるお話あり…そんな舞台も最高でした。そしていくらちゃん演じるは、辺見マリ「経験」をいきなり歌い出すような設定の4人姉妹の三女秋子。偶然ですが僕の座席は役者さんがすぐ隣で歌ったりするようなお席。マジ1mもない体温を感じるような距離でそんないくらちゃん演技に触れてしまった舞台でした。僕には照明も少しあたっていたそうで、いくらちゃんからすれば「すわっち、客席で見えすぎ!」だったそうですが。

 まあとにかくいろいろありましたが、いくらちゃんとはお互い同年代として、これまでなんとか似た方向の道すじを歩いてこれてる気がします。これからもいろいろあるでしょうが、じっくりゆっくり楽しく前向いてこの業界でがんばっていきましょうね。