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『アニ民251人目』故 古林英明さん
- 2015.04.30
今週のアニ民はこの1月に突然この世を去った故 古林英明さんです。
僕が古林さんと初めて会ったのはまだ20世紀、おそらく彼がまだ徳間書店に勤めていた頃でしょう。「アニメージュ」の編集長にまだなっていなかった時期だと思います。そこには先輩としてアニ民でも紹介した僕と生年月日が同じ渡邊隆史さんがいて、彼に紹介してもらったと思います。
同じ業界ということもあり、年に何度か会うことを何年も重ねているうちに、彼と渡邊さんは角川書店へ移籍。二人とも「アニメージュ」と「ニュータイプ」の編集者を経験するというとても奇妙な共通点があり、だんだんと親しくしてもらいました。
健康的な色黒でスポーツマンタイプな彼に、一緒に参加するゴルフコンペまで車で乗せていってもらったこともありました。アニメーション界のことやお互いの会社の話や愚痴など、車の中の会話は尽きることを知らず、あっという間にゴルフ場に着いたものです。さらにその後のいくつかのパーティや僕の主催する忘年会などにも来てくれました。
でもそんな僕は実は彼のことをまるでわかっていなかったのです。
先月、彼を「偲ぶ会」があり、九段下の会場へ行って来ました。発起人代表は当然渡邊さん。こんな案内状をいただきました。
『平成27年1月19日に古林英明さんは逝去されました。 亨年50歳。心より哀悼の意を表します。 ご葬儀はご家族・近親者のみで執り行われましたが、生前の古林さんを知る方々が集まり、 古林さんを偲び、思い出を語り合い、その面影を再度心に焼き付けたいと思い、 下記のとおり「偲ぶ会」を企画いたしました。 多くの皆様のご参加をお待ち申し上げております。』
その場で知る古林さんの歴史は凄まじいもので、フランス文学をこよなく愛しソルボンヌ大学に留学。帰国後1988年徳間書店入社、「アニメージュ」のナウシカ担当を皮切りにアニメーション界に精通、声優というポジションに目をつけ「ボイスアニメージュ」をはじめ、角川書店に移籍した後も含め、二つの出版社でかなりの数の新雑誌を立ち上げ、最近では声優アワードのスタッフもメインの立場で務めていた、などなど。
この会の式次第進行も渡邊さんが自ら担当。古林さんに対する体温を感じる発言に一つ一つ感じ入るものがありました。会場には古林さんが手掛けた数々の雑誌が並べられ、その見識の深さや広さは驚くべきものでした。そして発起人たちの予想を超えた参加者たちの数に顔に、古林さんが生前成してきたことの凄さが表れていました。
そうなんだ、そうだったのならもっと話したかった…偲ぶ会に参加した僕の正直な気持ちでした。でも古林さんをいろいろ知らないことがあっても、成してきた事柄は今もどこかで僕らを導いてくれている、そんな事実を感じながらこのアニ民を書いています。古林さん、ありがとう。心よりお悔やみ申し上げます。