• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民145人目
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  • 2012.06.14

 今週のアニ民はタツノコプロダクション代表取締役社長 田中修一郎さんです。

 田中さんと初めてお会いしたのはもちろん2008年1月からスタートしたTVアニメ「ヤッターマン」。なのでその前年5月くらいだったでしょうか。お互いにチーフプロデューサーというクレジットを出す立場で、立ち上げるにはいろいろありました。

 この番組、一番最初はその時30年ぶりの復活となるヤッターマンをYTVでリバイバルアニメにするコトが可能かどうかのお問い合わせから始まりました。僕がお問い合わせをしたのが当時のタツノコプロ社長・成嶋さん[1]、なんとこのアニ民登場一人目の方です。代理店の方に会ったりいくつか手続きをする段になってずっと一緒に行動することになったのが田中さん。当時は確か常務取締役、僕よりずいぶん若いのに意見も行動もキビキビ、なんだかずいぶんやり手な人だなあ、が僕の第一印象。

 それにしてもリメイクとはいえ、オリジナルシナリオ開発やキャスティングから音楽や、番組特別フォーマット作りまでやることいっぱいでした。田中さんは先輩の栃平プロデューサーと、僕は後輩の永井プロデューサーとお互い現場プロデューサーと共に、時代をリードする30年ぶりの完全新作ヤッターマンを生み出そうとしたあの激しい日々は楽しくも忘れられません。

 そのヤッターマン、東京浜町のスタジオでの毎週アフレコの思い出は特に輝く宝物であります。なんて言ったってほぼ!?人間国宝の演技技術を目の当たりにできたのですから。故滝口さん[106]や小原さん八奈見さん[22]たてかべさんたちのアフレコ立ち居振る舞いは脳裏に焼きついています。そして田中さんと僕のお仕事は番組の打ち入りや節目にみんなが集まる場所を作ることも。国分寺や浜町を舞台にスタッフ全員での楽しい宴シーンを作れたことも良い記憶です。そういえば昨年番組スタッフによる「順平さんお別れの会」を指揮されたのも田中さんでしたね。

 成嶋さんからのお声がけもあり、タツノコプロの社内旅行に僕が同行させてもらったこともありました。目的地は草津温泉。途中サファリパークにも寄って、2台のバスに分乗するほどの多人数に入れてもらって、温泉宴会などなどそれは楽しい一泊だったのですが、帰りが田中さんと2人になったのです。というのも二人とも仕事の都合で2日目早朝にホテルを後にしなければならなかったから。まぶしい紅葉を車窓から楽しみながらのローカル列車吾妻線の二人旅は、それが帰路にもかかわらず列車を待つ駅のホームの時点から旅情満点。4人がけシートの半分に地元の女子高生が座る平日朝のありふれた空間で、これからのアニメや自分たちの志向を語り合った時間は至福でしたね。

 田中さんの仕事ぶりはひとことで言うと“丁寧な印象”です。誠実な対応や臨機応変な判断をもって、仕事上のいくつものハードルを、汗かきながらも気持ちの良い笑顔でクリアしていくイメージですね。そんな田中さん、僕の名刺入れには“取締役 経営戦略室長”なる名刺がありますが、このほどタツノコプロの代表取締役社長になられました。歴史あるアニメ制作会社のトップであります。かの成嶋社長についていろんな現場を跳びまわっていた田中さんの姿を知る僕にとって、これは身体が震えるくらいうれしい出来事でした。まさにヤッターマン!どうかこれからも業界の若きリーダーとしてその辣腕をふるってくださいね。あと定期的にタクミが集うあの打ち合わせ食事会も絶対参加でよろしくお願いいたします。