• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民147人目
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  • 2012.06.28

 今週のアニ民は電通の元アニメ・キャラクター事業部長 東山敦さんです。

 ここでは東山さんのことをいつものようにヒガシさんと呼ばせてもらいます。さて、僕と電通さんとのお付き合いは1994年「魔法騎士レイアース」から始まりました。当時はTVアニメを扱う広告代理店はアサツーさんか読広さんぐらいで、そのちょっと前から「スラムダンク」を手がけた電通さんは言わばアニメ業界には新参者な立場。でもわがYTVとは「金田一少年の事件簿」も共同で制作したりしてつながりは長くなりますし、ヒガシさんとはその金田一からのお付き合いとなります。

 そもそも広告代理店のメインの仕事のひとつは、放送を支える一番の原動力となるスポンサーさんとの関係を取り持つこと。ありとあらゆるジャンルのスポンサーさんと、多数の番組をリリースするTV局の間に位置する立場を駆使し、超巨大な企業になったのが電通さんで、当時あまり大きなシェアを占めてなかったアニメ業界に後発で乗り出すことになったのは致し方ないことなのかもしれません。

 前置きが長くなりましたが、ヒガシさんはそんな代理店の中で人事異動などの流れで一人でアニメを担当せざるを得なくなったそうです。それが20世紀末の金田一の頃のこと。実は本人はマンガもアニメも興味が無く、当時はイヤイヤながら担当していたそうですが、その手腕が発揮されたのでしょう、所属する部の元で取り扱うアニメ作品が飛躍的に増えていきます。

 一口に取り扱うって言っても基本的にはビジネスのお話で、当たり前にナマ臭いお金の話がつきまといます。営業経験がない僕にはわからないこともありますが、日曜朝7時「宇宙兄弟」の枠にしろ「名探偵コナン」にしろ多かれ少なかれスポンサー開拓などに電通さんのチカラをお借りしていることも事実です。局の営業スタッフと代理店の担当者との二人三脚は、TVアニメを持続させていくために必要な要素であることは間違いありません。

 それにしてもビジネスの世界はシビアです。調子の良い作品悪い作品ある中で、会社としての業績をアップさせるために、自分の思いとは別な非情な判断を迫られることは良くあること。アニメ事業部長時代に多い時は同時に15番組ぐらい扱い、それだけの枠環境を支えていくのは並大抵の苦労ではなかったことでしょう。そしてその番組数は今や30を数えるそうです。

 ヒガシさんの特徴はやはりクールでクレバーな(に見える)ことでしょうか。それでいてちょい笑顔な話し方に、何というか愛というか優しさの一片みたいなものが垣間見える…。一緒に飲食していてもそんな衣をまとった明朗な論理に、いつの間にか何となく取り巻かれていっちゃってるタイプ。その技でいろんな人を口説いていくことが、ものすごく多様なアニメ作品を支えていくエネルギーになっていたんですよね。

 そんなヒガシさん、このほど人事異動で新たな部署に移りました。ここでちゃんと表記いたしますと旧「テレビ&エンタテインメント局エンタテインメント事業室アニメ・キャラクター事業部長」→新「ラジオテレビ&エンタテインメント局グローバル推進部長」となり、かつ新「出版ビジネス・プロデュース局コンテンツビジネス推進部プロジェクト・マネージャー」も兼任されるとのこと。有名な電通さんのカラー名刺、ヒガシさんはその2枚にまぶしいような蛍光っぽい補色二色を使っています。

 さあ、今度はグローバル推進部長ですか。カタコトと謙遜されるネイティブな北京語がさらに役立つようなお仕事のようですね。でもどんな仕事をされようともできればアニメ業界のことはちょこっと念頭において、これからもいろんな情報交流を心がけてもらえると僕らにとってパワー百人力であります。そして懸案のファミリーバーベキュー会も忘れずに実現しましょうね。