• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民149人目
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  • 2012.07.12

 今週は声優の皆口裕子さんです。ここではいつものように皆口さんのことをみなちゃんと呼ばせてもらいます。みなちゃんと初めて会ったのは1986年7月ごろの事。僕にとって2作目のTVアニメ「ボスコアドベンチャー」のオーディションであります。

 この作品で見事主役のヒロイン・アプリコット姫役をつかんだみなちゃん。TVシリーズのアニメ声優デビュー作となりました。当時の記憶では一番新鮮で擦れていないというか、可愛い中にも新しさのある声みたいな印象で、耳が長くとんがった妖精をもって新時代のヒロイン像を開拓しようというスタッフの意志もありました。ちなみにこのボスコではあのやまちゃんこと山寺宏一さん[112]もアニメ声優としてオッターというかわうその役でTVシリーズのレギュラーデビューをしているんですよ。

 そしてそこからことあるごとに食事などを一緒にしていたのですが、僕が当時の小学館ビッグコミックスピリッツの編集をしていた奥山さん[81]らと食事をするタイミングにみなちゃんを誘ったのです。ボスコの後あの伝説の番組「ねるとん紅鯨団」のナレーションをつとめていたみなちゃん。持ち前のそのナチュラルな普通の女の子風の声が主人公・猪熊柔キャラに重なると盛りあがり、みなちゃんもその気になって作品読み込みに没頭。晴れて1989年7月ごろ行われたオーディションを通過、10月から始まったTVアニメ「YAWARA!」のヒロインを演じることになります。

 おじいちゃんである猪熊滋悟郎の指導のおかげで、柔道は無茶苦茶強いけど本人は極めて普通の女子高生でありたい、というちょっと相入れないようなキャラクターを、ねるとんのナレーションのごとく素直さで演じていくみなちゃんは、そのストーリーも声優としても向かうトコロ敵無し状態で番組も3年間にわたって大ヒット。さらには同時期に制作していた「シティーハンター2」にも出演。確かそば打ち美人というキャラだったっけ、なんにしてもみなちゃんはもろもろ印象が強いのです。

 僕と一緒に「YAWARA!」のプロデューサーをした大先輩師匠・先述のマルさんらと共に「YAWARA!杯」なる麻雀会を何度か開いたことはここでも書きましたね。みなちゃん初心者なのに意外に強いのです。あれはヒキが強いというのかな。そして原作者の浦沢先生や滋悟郎役の永井一郎さん[55]も一緒の食事会も何度かしましたし、時間をおいて会う度になんだか大きくなってる女性・みなちゃんをいつも感じていたものです。また近く予定を立てたいものです。

 さてそんなみなちゃんが今年秋頃、日本での活動を休業して英語の語学留学をするそうです。聞くところによると1年以上も前からの決意だそう。でも初めてこの情報を聞いた僕は、あまり意外には思いませんでした。あ、またみなちゃんが大きくなろうとしてる、今まで通りの歩む道を相変わらずちゃんと歩いてる、こんな認識。でもどことなく僕にとっては、新人だったあのみなちゃんが残っている気がします。これからも異国の地に行ってもそのナチュラルな声とキャラクターでみなちゃんの道をゆっくり歩んで行ってくださいね。いつでもどこでも心から応援していますです!