• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民150人目
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  • 2012.07.19

 今週は三菱商事の西村浩哉さんです。

 アニメの仕事において普段商社の方とのお付き合いはほとんど無いんです。もちろん当アニ民においても初めての職業ジャンルの方、になりますね。そんな西村さんと初めてであったのは1993年秋ごろ、場所は歌舞伎町の居酒屋O。当時日本ビクターの小松さんが僕と約束していた食事会に連れてきてくれました、というのが実は本人からお聞きしたこと。僕も初めて見る業種の名刺に驚いた記憶はあります。

 会ってすぐの頃、当時東京駅丸の内ビルにあった三菱商事を尋ねたことがあります。エレベーターに乗るとそこの案内に「宇宙開発プロジェクト」や「H-IIロケット研究」などの文字を見つけて、大手の商事会社はそーゆー分野にも手を広げているんだ、と驚いたことがあります。今で言えばJAXAに協力しているというようなことでしょうか。

 当時はアニメーション制作ということにいろんな業種が注目始めていた時期で、西村さんもアニメ作りに関するあらゆる面を一から勉強する、といったスタンスで僕に会いに来ていろいろ会話した気がします。というわけで順調に事業を進行、三菱商事のキャラクター・アニメ等の企画と著作権管理部門を担当する会社「ディーライツ」に参加。「ベイブレード」や「ビーダマン」などの作品を手がけたそうです。

 その後ディーライツを離れて三菱商事の本家に戻るも、社外取締役としてディーライツを担当する立場に。だいたい地球上のありとあらゆる物件を取引するのが使命の商事会社が、アニメーション版権や商品化ライセンスなど、物件や商品そのものにならないような分野に手を出すことの難しさは理解できるような気がします。それゆえ今の西村さんの仕事は三菱商事本体にアニメーション開発の大切さを、マーチャンや権利ビジネスに特化させて説得することも。

 今の西村さんの名刺には「リテイル・ヘルスケア本部 消費者サービスユニットメディアコンテンツチームリーダー」とあります。かろうじてメディアコンテンツあたりに我々に近いにおいが漂っていますが、実際の仕事を推し量るのはちょっと難しい…。言ってみればアニメや映像などのコンテンツビジネスを、生活そのものに関わる生活産業に影響させ消費者ビジネスに転換する、こんなお仕事といってよいでしょうか。

 でもそんな西村さんが一番願っているのが、日本のアニメーションの興隆だそうです。アニメそのものがコンテンツとして世界に対して影響力を持つというか力強さを振舞うというか。ということはその根幹には、まず人の目を引く面白い作品の制作が欠かせないことを一番理解しているということですよね。

 僕は年に数回食事をしたりしていますが、たまに僕には訳のわからない商社コトバ?で悩みなどをこぼしている西村さん。それもこれもこの業界を知った上で大きな組織を動かし、新しいコンテンツをなんとか掘り起こしていこうという努力の表れに違いありません。とにかく僕らのお仕事は楽しく面白いエネルギーのコンテンツへの凝縮であります。そこはブレずにこれからも一緒にこのアニメ業界を歩いていきましょう。いろいろ壁はありますが、一度しっかり手を組んで作品つくりをしたいですね。