• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民161人目
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  • 2012.10.11

 今週のアニ民は小学館、元少年サンデー編集長・縄田正樹さんです。

 縄田さんと初めてお会いしたのは、僕が「YAWARA!」を手掛けているときに通っていたビッグコミックスピリッツ誌編集部の、となりにあったビッグコミック誌編集部に縄田さんがいらっしゃった時ですから、かれこれ20年以上前ですよね。マンガ好きな僕は仕事もさることながら、とにかく編集部という場所に足を踏み入れることが嬉しくて嬉しくて、ほぼ週一以上に通っていた気がします。そして当然縄田さん他いろんな方々を紹介していただき、食事がてらいろんな情報を得れるし、こちらがどんな考え方ベクトルを持っているか、その意思みたいなものを感じてもらうことが出来たと思います。

 縄田さんに当時のことを聞くと、僕は新宿の回るようなお店でひたすら「YAWARA!」や他のマンガのことをしゃべり倒し、なぜか「男はとにかく一億円!」と叫んでいたそう。うーん、たしかにその当時は原作者・浦沢さんたちに、直に描いていただいたジュラルミンケースを見せて歩くのが宣伝だ、とばかりに毎日日々持ち歩いていた時期。でもそんなことを初めてに近い飲みタイミングで話せる何かを、縄田さんとお互いに感じていたんだと思うとちょっと嬉しいですよね。

 3年にわたって「少年サンデー」の編集長を務められた縄田さんの編集スタイルはひとことで言うと“柔軟”でしょうか。直前の林編集長[135]が引いた路線を継承しつつ、「銀の匙 Silver Spoon」など僕からみれば“柔らかい”ニュアンスを内包する作品を多く手掛けていって、言ってみれば“腰の強い”少年サンデーを構築してこられたと思います。 

 あれは昨年夏だったでしょうか。あるお祝いパーティからの帰り、偶然一緒になった縄田さんと僕はタクシーに乗りめったに行かない僕の地元へ。Mというワインバーで二人グラスを空けながら口に出ることは「新しいことやりたいですよね。もうひとつそしてもうひとつ、新しいページをめくっていかなくちゃ」。なんだか企画に飢えていた、その時飲んだピノノワールを僕は今でも覚えています。

 縄田さんは考えることはシャープで鋭利な意見でも、その語り口が柔らかいのでこちらが納得してさらにプラス気分になったりすることがしばしばありました。不定期放送にはなっています「名探偵コナン 怪盗キッドスペシャル」。同じ青山先生原作でも原作そのものが異なるわけですから、扱いなど仕事として乗り越えなくてはいけないこともあるし、「まじっく快斗」側から考えなくちゃならないことなどもあったりします。いろいろちょっと難しい問題もあったりしたのですが、編集長・縄田さんの判断は作品側にとってデメリットがないことを前提に、どうせやるなら前向き大きく的なサジェスチョンまで昇華して解決してくれました。DVD付きの単行本「まっじく快斗」プラスアンコミックにそれがよく出ています。そーゆー編集側に対して、アニメスタッフ側も思わず作品つくりにリキ入るのは間違いありません。

 直近の大きな勝負は「マギ」でしょうか。放送される枠は放送ネットワークもあって、アニメ業界では「名探偵コナン」の土曜夜6時=土6(どろく)と並ぶといわれる日曜夕方5時=日5(にちご)。別に裏番組じゃないのでバトルになるわけではありませんが、原作も面白いし制作会社も担当Pも含めて、僕にとっても気になる注目作であることには変わりありません。 

 この作品をはじめこれまで数々のマンガやアニメを生み出してきた縄田さんの今の名刺の肩書きは[第二コミック局プロデューサー(兼)「コロコロ・サンデー企画室」室長]であります。編集長だった時よりさらにもっとどんどん新しいものを生み出していく立場ですよね。というわけでさらに良い水を得た魚のような縄田さん。これからも一緒にいっぱい会話をしながら面白く新しいものにチャレンジしていきましょう!