• 『アニ民240人目』監督の工藤進さん
  • 『アニ民240人目』監督の工藤進さん

  • 2014.10.30

 今週のアニ民は「まじっく快斗1412」の監督、工藤進さんです。僕が工藤監督と初めて会ったのはもちろんこの作品から。監督の人選の際、アニメーションプロデューサー大松裕さんが推薦され、その実績や作品傾向から今回の番組にぴったりだったので、是非ともとお願いさせていただきました。

 実は番組を成功させるにはこのような出会いがものすごく大きな意味を持つことがあります。番組そのものが人と人、スタッフ同士のチームワークのタマモノであることは異論がないところですが、それならどんな出会いでも良いのかというとそうではありません。そもそも作品を手がけるための物理的な時間が取れるのかといった、基本的なタイミングが合わないため成立しないなんてしょっちゅうあるコト。

 工藤監督はおりしも先月公開された「攻殻機動隊ARISE」にかかりっきりになっていたピークの直後に、我々の提案に出会った事になります。そしてそれは「まじっく快斗1412」にとっても最高の出会いとなりました。

 お話を聞いてみると実は工藤監督は映画専門学校の出身。そうです、実写映画畑で勉強されてたのです。それがひょんなご縁から「まんが日本昔ばなし」を制作する愛企画センターで働き、アニメ制作のイロハを学んだとか。もともと演出志望だったので社員演出からスタート。演出としてのデビューは「ツヨシしっかりしなさい」。そして監督デビューはOVA「サクラ大戦 轟華絢爛」など多数の作品を経て「マルドゥック スクランブル」で監督としての力量を評価されることになります。

 さて始まって1か月、「まじっく快斗1412」いかがでしょうか。今回のシリーズは、4年以上前に制作された「まじっく快斗」のリメイクもあれば新作もあるというちょっと特異な状況。番組をお願いする時にもおそらく普段のアニメ制作とは異なる条件もいくつか提示させてもらってます。そんな環境を理解した上であえて「まじっく快斗1412」の世界に乗り込んきてくれた工藤監督、この作品の対する決意のほどがいかなるものなのか、僕は想像に難くないし非常に光栄であります。

 普段の工藤監督の様子は、喫煙所でタバコをくわえながら寡黙に演出プランを考えているイメージでしょうか。少し小柄でやせた体型にやぶにらみの目、芸術家にありがちなヒゲと渋いルックスが、監督が持つ独特な映像世界の奥深さを感じさせます。

 「とにかくただのリメイク版にはしない。青山先生監修のもと、演出は自由な発想でやらせてもらってます。原作の世界観をこわさないように、そのスレスレのところを気持ちよく飛んで行こうと思ってます」と語る工藤監督。もう心身ともに怪盗キッドになりきってくれてるのかもしれませんね。