『アニ民231人目』声優の富田耕生さん

　今週のアニ民は声優の富田耕生さんです。ここではいつものように富田さんをとみこうさんと呼ばせていただきます。

　とみこうさんと初めてお会いしたのは仕事ではなくおそらく制作会社主催のゴルフコンペだと思います。ゴルフの腕前は素晴らしい実力なのに？一緒にまわったそのプレーが大笑いの連続でムチャ楽しかった記憶があります。僕のゴルフが（今でもそうですが）駆け出しレベルだったのに、十分満足して1ラウンド回れたのは、プレー指導も含めとみこうさんの面白トークに支えられてのことでした。まだ20世紀のころというか1980年代後半のお話ですが。

　その後「名探偵コナン」の犯人や容疑者ゲストでちょくちょくスタジオでもあえるようになり、ロビーやアフレコ後の食事会でもいろいろお話しできるようになりました。その中でも思い出すのは「ブラック・ジャック」でしょうか。一番最初に手掛けた2時間スペシャル「命をめぐる４つの奇跡」からマスター役を演じてもらってますが、その喫茶店「Tom」のマスターは原作でも登場するスリの哲。というわけでそのいでたちは手塚キャラではもうおなじみのヒゲオヤジなのであります。

　ヒゲオヤジとしてはTVアニメの創世記から登場しており、1963年放送「鉄腕アトム」はもちろん、同じ年のあの「鉄人28号」では大塚署長を演じてたというから、もう“歩くアニメーションの歴史”な人物ですよね。僕も自分自身の成長の糧として相当お世話になっています。YTV放送の「タイガーマスク」ではオープニングナレーションもされてたとか。

　そんなとみこうさんに今回は「名探偵コナン」で鈴木次郎吉を演じてもらう事になりました。あの永井一郎さんからのバトンタッチです。キッドを“彼奴＝きゃつ”と呼びポンポン飛び出す気合の入ったセリフは見事に健在でした。「タイミングがなあ…」とアタマを抱えながらも、ガラスのこちらのスタッフからため息も出るくらいの素晴らしい演技は7月19日土曜夜6時「怪盗キッドvs京極真（前編）」の放送でトクとご覧くださいませ。

　とにかくゴルフの腕前も超一流で、一緒に回らなくても2,3組前や後ろにいてもその大きく通る声ですぐ存在がわかってしまうとみこうさん。最近仕事としてはヌキ録りが多いので、ほぼ全員で収録するコナンの仕事が楽しくて楽しくてと笑顔で話してくれました。「永井（一郎さん）とはよくケンカもしたよなあ、彼のが年上だけどオレのがこの世界では先輩だったからな」とみこうさんが50年以上積み重ねてきた豪快なイメージがもう完璧に次郎吉に重なりました。

　スタジオで久しぶりに会った僕への第一声が「すわちゃんも長いなあ、変わんないなあ」はい、その言葉、そっくり倍にしてお返しします。こんな大先輩なのに料理や飲み物にも繊細な配慮をしてくれて、番組打ち上げ場のなごみは最高です。どうかこれからもなるべく一緒にいて、演技だけでなく人としてのいろいろ多くも教えていってくださいね。