• 『アニ民210人目』 トムス・エンタテインメントチーフプロデューサー小島哲さん
  • 『アニ民210人目』 トムス・エンタテインメントチーフプロデューサー小島哲さん

  • 2013.11.21

 今週のアニ民はアニメ制作会社トムス・エンタテインメントチーフプロデューサー小島哲(さとし)さんです。小島さんのことをここではいつものようにコジと呼ばせてもらいます。

 僕が初めてコジと会ったのは「魔法騎士レイアース」の時です。この作品、前半のプロデューサーが岩田さん(アニ民82)で後半がヨッシーこと吉岡さん(アニ民27)になりますが、コジはヨッシーになってからの印象が強いです。実際僕と同学年のヨッシーよりも少し若いコジは、いろんな面で作品のアシスタントも務めてくれていました。なのでそのまま「名探偵コナン」に移行してもコジとの付き合いは同じレベルで継続。東京ムービー(現TMS)に行ってヨッシーとシナリオ会議したりいろいろ打ち合わせの際も、いつも近くにいて行動を共にしていた記憶があります。

 特に当時のアフレコスタジオが渋谷だったので、レイアースのアフレコ終了後何度も、制作会社がある新井薬師前に移動して、そこで常連となっているお店Tで沖縄料理にありついたものです。その移動手段がコジが乗ってきているワゴン車。8人乗りの大きなもので僕は勝手にとても便利に感じていて、ともするとコジに「今日バスある?」なんて聞いたりして強引に便乗させてもらってました。そうして僕が勝手につけた彼の愛車の呼び名が『コジバス』。

 その後も毎度のごとく僕が「今日バスある?」って聞くと「バスじゃない」と答えながらバスを出してくれます。それはコナンになってからもしばらく続きます。今でも彼の車を見るたびに「あれ、新しいバスにしたんだね」って僕が言うと「バスじゃない」と答えてくれるコジ。そこはかとないユーモアがたまりません。

 そんなコジもいろいろな別作品も担当してそのプロデューサー腕力を育てていきます。あの「ムシキング」などはその大ヒットした世界観を上手にアニメーションに持ち込みロングヒットさせましたし、最近では「爆丸(バクガン)」をずっと手がけていましたね。これはアメリカなどで大ヒットしている玩具ロボットアニメです。

 そんなコジとここ何年もお付き合いしている作品が「ルパン三世vs名探偵コナン」であります。2009年3月に放送された時は、視聴率19.5%(ビデオリサーチ関東調べ)をゲットし、心配した内容の評判も上々で大成功でした。これは最終的な時間の足りなさを補って余りあるコジの活躍が大きかったと思います。そして監督である亀垣一さん(=カメさん前回のアニ民)に対してベストなパートナープロデューサーであったことは、この作品を始める頃から急に多くなったカメさんとのゴルフ回数をみてもよくわかります。って関係ないか。でも妙に急にゴルフの腕が上達したのはカメさんとつるんだコトが無関係じゃないよね。ちょっとうらやましい。

 というわけで金曜ロードショーで放送されたTVスペシャルのルパコナの成功をみて、フライングではありますがすぐさま僕は映画公開を目指した行動を起こし、何かとコジ達に相談して来ました。本当にいろいろなことがありましたがそれを何とか乗り越えて、今回の「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」の完成にこぎつけられたのは、コジや山川PなどTMS始め多くの現場スタッフたちのおかげです。

 カメさん、脚本家の前川さん(次回のアニ民)とコジの3人に先日「スワラジ」に出てもらいました。僕を入れて4人のルパコナトークはそのまま日々やっているおじさんトークそのもの。良い意味で緊張感もなく日々の仕事とプライベートが交差したステキな時間となりました。番組中の会話でコジのアニメ業界に入るきっかけはなんと野球にあったんだと知りました。で、今でも現役でそのアニメリーグに参加しているそうです。

 さあいよいよルパコナ映画の幕が開きます。良い結果を求めるのは当たり前ですが、それ以前にガツンとした手応えのある面白い作品になったかどうかが先です。その判断は全国のお客さまに委ねるとして、これから僕らはどうして行きましょうか。とりあえずコジバスには乗せてもらいますので、「バスじゃない」と言いながらもその運転さばきで、チームをそのまま次の世界へ連れていって下さいね。