• 『アニメ村のステキな住民たち』アニ民209人目
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  • 2013.11.14

 今週のアニ民は「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」監督の亀垣一さんです。亀垣さんのことをここではいつものようにカメさんと呼ばせてもらいます。

 カメさんと仕事で初めて会ったのは1996年2月ごろ、体操アニメ「ガンバリスト!駿」の顔合わせの時でしょうか。プロデューサーは「魔法騎士レイアース」の前半を担当してくれた東京ムービー岩田プロデューサー(アニ民82)が、ガンバの時はサンライズの岩田プロデューサーとして登場。彼が監督として声をかけたのがカメさんでした。

 実は当時はまだサンライズだったボンズの南さん(アニ民129)とこの二人と僕には共通点があります。それはドラゴンズファンであるということ。なので僕が毎年年末に行う「縁起物の忘年会」に何度か参加してくれてたんです。なのでガンバの時は初対面というわけではなく、それがスケジュールが無い怒涛の進行にプラスに働きましたよね。

 1996年はアトランタオリンピックの年でした。それを見越して少年サンデーでは「ガンバ!Fly High」を連載してました。金メダリスト森末慎二さん原作・菊田洋之さん漫画によるリアルな体操ストーリーに人気が集まるのは当然で、当時のマンガやアニメを見て今の体操界に活躍している有名選手も少なくないのはみなさんご存知ですよね。

 カメさんとこの原作をTVアニメにするために一つの約束事をします。それはとにかく見る側をスカッとさわやかにするということ。ストーリー進行上ライバルやいろんな障害が出てきますが、主人公・藤巻駿はあくまで正攻法で素直にまっすぐにぶつかって乗り越えていかせようとしました。もちろん原作の流れもそのテイストですが、アニメ全30話の中で何度スカッとさせられるかに挑戦したような気がしてます。

 ガンバの後もカメさんとプライベート的なお付き合いは続きます。ドラゴンズがけっこう強かったので、先述の4人でドームに行ったり、神宮球場などへ優勝がらみのナイター観戦にも何度か行きましたね。毎年の僕の忘年会ではリーグ優勝や日本一祝いを兼ねたことも何度かあります。これは当事者にとって極上な幸せでした。他球団ファンには申し訳ないなんてことは微塵も思わず、ただ勝手に喜んで騒いでる自己中なレベルなんですが。

 「名探偵コナン」にはSPや映画の絵コンテでずっと付き合ってもらってるカメさん。「ルパン三世」のTVスペシャルも手がけているので、TVスペシャルのルパコナ企画があがった時に、真っ先に監督適任者にと思ったのは自然な流れです。2009年3月金曜ロードショーで放送された企画をスタートさせたのは2007年5月ぐらいの事でした。

 実はカメさんにはシナリオ作りの途中から参加してもらったにもかかわらず、作品はあれよあれよと言う間にカメさん色に染まっていきます。ヒトコトで言うと緩急自在なストーリー映像とでも言いましょうか。ルパンのすこ~しゆる~い設定に、コナンのリアルな枠組みを重ねていくことは、口で言うほど簡単ではありません。両作品を経験してるからって自在にいく言うわけでもありません。できたシナリオをカメさんなりにず~っとアタマの中で転がし、金太郎飴のように作品のどの部分もカメさん色にしていく実力がすごいですよね。それは今回の「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」でも同じであります。いやもっとスケールアップしています。

 先日、映画の脚本・前川さん、TMSの小島プロデューサーと一緒にカメさんに「スワラジ」に出てもらいました。いやあ、単なるなかよし4人のオジサントークでしたが、アニメ業界に入ったきっかけは「宇宙戦艦ヤマト」と言い切ったカメさん。どんなときにも飄々と自分のペースを守り、それが本当に頼もしいカメさん。どうかこれからも同世代で同郷な僕とどっぷり付き合っていってくださいませ。

 とにかくこれからもカメさんがノビノビマイペースでやるための環境作りは僕らに任せてください。そーゆー風に動きまわるカメさんの横で、いつものヤンチャな演出をニヤニヤしながら味わさせてもらいますから。あと天候のせいでずっと延期しちゃってる、お互いの共通点であるあの地元のゴルフ場でのプレイを実現させねば、ですね。