男が恋人を殺すとき
10月4日(木)よる 23:58~0:38
- 秋本 俊二
(小泉 孝太郎) - 社長令嬢と婚約中の
雑誌記者
- 大津 真由美
(前田 亜季) - 秋本の高校の同級生、
彼の子を妊娠
わずか一滴で致死量に達し、しかも検出不可能、効き目は24時間後に現れる…そんな完全犯罪を可能にする究極の毒薬があるとネットで噂になっていた。
その毒が、警視庁捜査一課でも噂になっていた所、元交通課の笹本直美(臼田あさ美)が捜査一課に転属されてきた。警視庁捜査一課特別犯罪捜査係の係長、刀根山唯人は死亡原因が不明の不審遺体が相次いでいるため、刑事を増員したと部下の千葉健介(渡辺いっけい)、中野耀太郎(木村祐一)たちに説明する。そして直美は、毒の存在を否定する千葉とコンビを組むことになる。
海外サイトで完璧な毒薬について調べる雑誌記者の秋本俊二(小泉孝太郎)。サイトには開発を主導したのは手の甲に数字の傷跡がある日本人の科学者と書かれていた。結婚を約束する恋人のレイカはこの出版社の社長の娘。秋本には明るい未来が待っていたが、一つの悩みを抱えていた。それが地味な派遣OLをしている高校の同級生、大津真由美(前田亜季)の存在だった。たまたま地元で再会し、酒の勢いで関係を持った2人。真由美は上京し、2人は水、木、土曜に会う関係が半年続いていた。秋本は真由美の古アパートを訪ね、別れを切り出そうとするが、逆に真由美から妊娠2ヶ月とわかったと報告されてしまう。
真由美の妊娠の報告に思い悩む秋本は帰り道、黒いハット、コート姿の松井十一(綾部祐二)に声をかけられる。手の甲に数字の傷跡がある松井は、完全犯罪が可能な毒薬を持っていた。松井は「使うか使わないかは自由です」と言って秋本に毒の瓶を手渡す。後日、秋本はレイカの父親である社長の小出に誘われ、高級レストランで食事をする。「娘を泣かせるようなことがあったら、絶対に許さん。結婚するなら、きちんと身辺整理はしておけ」と小出に脅され、秋本はますます追い込まれる。その夜、秋本はポケットに毒の瓶を忍ばせ、真由美のアパートを訪ねる。秋本が妊娠を祝おうとすると、真由美は嬉し涙を流して心から喜ぶ。真由美は小さなテーブルに粗末な食事を並べ、秋本は真由美が作ったひじきに田舎を思い出して涙ぐむ。最後まで悩んだ秋本だったが、真由美が席を立った隙にカップに毒薬を一滴垂らす。そして真由美は、何の疑いもせずにそのカップを口に運ぶ。
翌日の夜、バーで24時間経つのを待っていた秋本は松井に声をかけられる。松井は懐中時計を見つめながらカウントダウンを始め、24時間経過と同時にライターの火を消し、人生を切り開いたと秋本を祝福する。翌朝、秋本は編集長から、ラブホテルで女性の死体が発見されたので取材に行けと命じられる。現場にやってきた秋本は捜査中の千葉から話を聞いて愕然となる。発見されたのは真由美の遺体だった。死因は心臓麻痺で、千葉は派遣OLだった真由美が売春婦もしていたと睨んでいた。
直美と千葉は真由美のアパートも捜査。千葉は一緒にホテルに来た男性は真由美が突然死亡し、怖くなって逃げたと推理し、事件性はないと考える。この後、取材を進めていった秋本は真由美の意外な素顔を知る事になる。普段は真面目で清楚な雰囲気の派遣OL。だが、日曜から火曜までの夜は派手なメイクと服装になり、会社重役の藤尾と愛人関係を持っていた。藤尾は真由美に800万円を貢いでいたという。しかし、真由美が死んだ金曜は会っていないと証言し、他にも男がいる可能性が浮上する。
そして、直美と千葉は金曜に浜田という男が真由美と会っていた事を突き止める。浜田は愛人として金曜だけ真由美と会っていたが、自分は殺していないと無実を主張する。その日、浜田は真由美が突然ベッドで呻き出した証言する。直美は、愛人が2人いたとは思えない真由美の質素な生活を疑問に思うが、解剖の結果、薬物を使用した形跡はなく、突然死として捜査は終わる。だが、解剖によって驚きの事実が明らかになっていた。
秋本は真由美の事がわからなくなり、最後に合鍵を使って真由美のアパートに入る。間もなく、そこに直美がやってくる。直美は独自に捜査し、水、木、土曜に秋本と真由美が会っていた事に気付いていた。直美は真由美が全身をガンに冒され、余命はもって半年だったと告げる。この事実に言葉を失う秋本。直美は思い出した事があったら話してほしいと言って去っていく。
秋本はふと、花の萎れた植木鉢に目を留め、生前に真由美が「私がいない時は面倒を見てね」と話していた事を思い出す。植木鉢をひっくり返すと、そこには真由美の遺書と秋本名義の通帳が入っていた。通帳には1200万円ほど貯金されていた。秋本と再会した時、すでにガンに冒されていた真由美。残された命を秋本に捧げようと決意した真由美が自分の代わりに夢を実現してもらいたい、もっと良い取材をしてもらいたい、と願って貯めたものだった。秋本は最愛の女性を殺してしまった事を後悔して…