新・ことば事情
5388「日露か?日ロか?2」
「す・またん」の担当者から電話がありました。
「日本とロシアの略称の表記は『日ロ』でしょうか?『日露』でしょうか?」
「ソ連が崩壊してからしばらくは『日ロ』と表記していたけど、最近は『日露』に変更されたね。日露戦争の頃の露西亜(ロシア)と違うというのはもう分かるし、カタカナの『ロ』は『口(くち)』に見えてしまって分かりにくいというのが、変更の理由だったと思うよ。」
と答えてから、昔書いたものを検索したら、2009年2月19日に、
「平成ことば事情3514日露か?日ロか?」
というのを書いていました。それによると、新聞表記はバラバラだが、日テレは、
「日ロ」
だと書いています。
あれ?では、その後に変更されたことは書いていなかったか?
また調べてみたら、「2010年11月10日」に、当時の日本テレビの用語担当者に出した質問に対して、以下のようなメールを頂いていました。
****************************************
『昨日(2010年11月9日)、かって用語統一した「口」を「露」に変更しました。
↓
新:ロシアの略称は「露」
(旧: 「ロ」 )
ロシアの略称は、これまで「ロ」を用い、「日ロ首脳会談」などと表記してきましたが、今後は「露」を使い、「日露首脳会談」などと統一使用します。
本日(2010年11月9日)の編集会議で承認いただきましたので、即時発効といたします。現時点で既に完パケ作業をしてしまったものについては、許容します。
【理由】
①旧ソ連崩壊後、新生ロシアと帝政ロシアを区別するため、多くのメディアが「ロ」を用いた。
②新生ロシア発足から18年経ち、「日露」を使用しても、帝政ロシアを想起する視聴者が減った。
③主要国でカタカタを略称にしている国はなく、新聞・通信なども「露」を使用している(読売新聞等)。
【使用例】
日露首脳会談、日露間の貿易統計(スーパーなど)、中露関係、河野駐露大使など。
ただし、「日本・ロシア当局者による協議」、「駐ロシア大使」などのように
「ロシア」を略さない表記を禁じるものではありません。
****************************************
その後出された『日テレ放送用語ガイド2011』には、これが反映されて、「ロシア」の略称表記は、漢字で、
「露」
とすることになっていますので、ここ3年以上、日本テレビ系列での表記は漢字で、
「日露」
ということですね。でも、こういうのって、気にしていなければ案外、気付かないものなんですよね。忘れないように記しておきます。(こういう記録も、うちではたぶんどこにも残っていないと思います。「平成ことば事情」が、ちゃんと「アーカイブ」となれるように。)