血溜之間殺人事件
File.1
朝、はじめは不動高校の校門で美雪、囲碁部部長の小角由香里、囲碁部1年の海峰学と合流する。この日は超名門の開桜学院との対抗合宿。囲碁部は部員が1人足りず、美雪が経験者のはじめを紹介したのだ。だが、詳しく話を聞くと、はじめは祖父からやり方を教わった程度の実力だった。剣持警部は同級生という顧問の大塚先生に頼まれて引率する事になり、美雪もマネージャーとして参加する。そこに開桜学院の囲碁部顧問、岡目秀策が3年の三ツ石勲、2年の天元花織、1年の星桂馬を連れて現れる。
この後、一行はマイクロバスに乗って合宿する宿へ向かう。囲碁の世界はライバル意識が強く、移動中、開桜学院の生徒3人はギスギスした雰囲気だった。対照的に由香里と海峰は親しい間柄。2人とも囲碁でプロを目指す気持ちはなく、海峰は音大進学を目指し、親が外科医の由香里は医大コースだった。一行は合宿対戦する梔子莊に到着後、対局場の血溜之間へ。血溜まりとは碁盤の裏面にあるへこみの部分の事を言い、対局に口を出した第三者の首をさらした事が血溜の由来だという。
この後、第1局、はじめと三ツ石の対戦が行われる。使用する盤は江戸中期に名工、天海の手で作られた作品。碁石は黒石が那智黒石、白石が最高級ハマグリに天海の天を刻んだ一点モノだった。不動高校は第1局を捨て、第2、3局に勝つという魂胆だが…。第1局に勝ったのははじめだった。第2局の由香里と花織の対戦は花織が勝利。対抗戦の決着は明日の海峰と星の対局までもつれ込む。
夕食は格下のはじめが勝利した事もあって気まずい雰囲気に。食後、星は「俺はこんな所にいられない人間なんだ。開桜学院の生徒だなんて…」と意味深な事をはじめにこぼす。そして深夜、廊下を歩く星の背後に何者かが忍び寄り、手にした竹柵の竹を星の後頭部に振りかざす。翌朝、朝食を食べない美雪を除く皆が食堂広間に集まる。だが、星は時間になっても現れない。部屋にも星はいなかったという。海峰は対局場にいるかもしれないと考え、はじめと三ツ石が血溜之間に行くが、そこに星はいなかった。
この後、はじめたちは手分けして星を捜す事に。花織は着替えに戻り、由香里は美雪を呼びに行く。三ツ石は風呂場、海峰は庭へ捜しに行き、岡目は星の自宅に電話をかけにいく。その直後、庭から海峰の驚く声が聞こえてきて、はじめと剣持は急いで庭へ。庭の池の水底には対局で使用した白と黒の碁石で「ホシ血ダマリノ間に死ス」というメッセージが書かれていた。海峰は国宝級の碁石を放っておけずに拾い始め、はじめと剣持は長い廊下を通って血溜之間へ行く。そこでは星が血溜の言い伝えになぞらえて殺害されていた。死亡推定時刻は昨夜の午前1時頃。星は血溜之間の横にある物置で絞殺された可能性が高かった。昨夜から今朝にかけて梔子莊に出入りした人物はなく、容疑者は合宿参加者に絞られる。はじめは「犯人は必ず見つけてやる。ジッチャンの名にかけて!」と誓うが…。
登場人物
-
海峰学
-
小角由香里
-
星桂馬
-
三ツ石勲
-
天元花織
-
岡目秀策