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ストーリー

第3話
7月21日(木)よる11:59 ※一部地域を除く

 ある日の柿崎真一(三上博史)と丸井華(森川葵)は、思いつめた様子の河原井正(豊原功補)に拉致され、消費者金融「ゴールドメダル」に連れていかれる。そこには社長の津木野卓(清水綋治)がいて、河原井は普段、卓の債権回収を手伝っていた。そして、卓の弟・徹が、つい先日、亡くなったと言う。卓は、弟の徹に4500万円もの金を貸していたため、それを遺族から取り返してほしいと柿崎に頼むのだった。徹には妻の芳子(烏丸せつこ)、息子の聡(山岸門人)がいて、遺産は土地家屋が約2000万円ほどあると言う。「…遺族が相続放棄すれば、その借金は回収不能になりますけど」と、柿崎は乗り気でなく、社長室に飾られている金メダルを眺めていた。卓は元プロボクサーで、オリンピックの金メダリストだった。

 そこへ突然、芳子が乗り込んでくる。「義兄さん、どういうこと!?店を差し押さえるって」ただでさえお金に困っている芳子は、店がなくなると生活が立ち行かなくなるが、そこで初めて、夫が卓に多額の借金をしていたことを知る。「それでは、その借金を含めて相続を放棄します」と芳子。だが卓は、ある書類を見せた。それは、卓の妻が経営する中古車屋に、徹の車を売却したという書類だった。柿崎はそれを見て「…遺産の一部を売却しましたね?その行為は民法921条で単純承認とみなされ、残念ながら相続放棄は認められません」と柿崎。「そんな!…葬式代が足りなかったから…義兄さんが車を売ればいいって…。義兄さん、騙したのね!」芳子は怒りに震えて帰っていく。

 卓の依頼に気が乗らない柿崎は、河原井に「どうして自分で回収しないんです?河原井さん、債権回収のプロですよね?」と尋ねる。浮かない顔の河原井は「ラーメン食いに行こうぜ」と、あるラーメン屋に柿崎と華を連れていく。

 そこは芳子が営む店で、柿崎らが店を覗くと、芳子と息子の聡が口論していた。「だからさっさとあんな親父、離婚しておけばよかったんだ。八百長でオリンピック逃して、勝手に家出して、勝手に孤独死するなんて。おまけに借金まで…」と聡。「父さんを悪く言うんじゃない!」と芳子。河原井が店に入っていく。それに気づいた芳子は「この金メダルの手先が!帰れ!」と追い払う。河原井と芳子は顔見知りのようで、河原井はどこか芳子に好意を抱いている風だった。柿崎と華も中へ入り、柿崎は「息子さんにだけ相続放棄させるといいですよ。その後、あなたが遺産相続して自己破産するといい。それで借金は帳消しです」と芳子に助言する。

 柿崎が事務所に戻ると、卓の妻・玲子(黒沢あすか)が来ていた。「あんた、芳子の味方してるの?」と、柿崎に難癖をつける玲子は「とにかくウチの人に芳子を二度と近づけないで!」と言って去る。玲子は、夫と芳子ができていると思い込んでいた。

 柿崎は、水谷美樹(酒井若菜)から、卓の弟・徹も元プロボクサーで、八百長試合で有名だったと聞かされる。オリンピック選考試合で卓と徹が戦い、徹はわざと負けたと噂になったらしい。

 河原井は、柿崎が相変わらず卓の仕事を受けないので、柿崎をドラム缶に入れて埠頭へと運ぶ。「なぜ4500万をさっさと回収しない」と河原井。回収しなければコンクリート詰めにして海に沈めると言うが、柿崎は、河原井が何か事情を抱えていると悟り、本心を探る。河原井は、幼い頃の憧れだった芳子が気の毒で見ていられないのだった。河原井は柿崎に、卓の依頼を受けるフリをして芳子を救ってほしいと頼む。

 柿崎は卓のことを探る。卓は高校時代から天才ボクサーと呼ばれ、卓に勝てるのはたった一人、弟の徹だけだった。卓は、自分より強い徹が、なぜオリンピックの選考試合で八百長をしたのか理解できずに苦しんでいた。また、徹を憎んでもいた。

 一方、玲子の経営する中古車センターへ行く柿崎。そこには徹の車があった。車の中に徹のボクシンググローブが見え、手に取る柿崎。玲子が来て、「その車、100万で売るわよ」と玲子。それを買った柿崎は、玲子から卓が徹を憎む理由は、芳子が最初に付き合っていたのは卓で、徹がそれを横取りしたからだと聞く。「もう何十年も昔のことなのに」と玲子。「……嫉妬してるんですね」と柿崎。

 柿崎は、玲子を卓の会社へ連れていき、卓の金メダルを見せる。金メダルの裏には「TAKU to YOSHIKO」と刻まれていた。動揺した玲子は、芳子のラーメン屋に殴り込む。「どうして兄貴にまで手を出すの!」と玲子。「手なんか出してないわよ!」と芳子。揉み合う二人。柿崎と華は二人を止めようとするが、そこへ卓と河原井も駆けつける。卓に金メダルを差し出し、「どうしてこの女の名が刻んであるのよ!」と玲子。「昔のことだ」今は玲子を愛していると言い、「その証に借金を取り立てるんだ」と卓。「その借金なら全額返済します」と柿崎。

 柿崎は、徹の車にあったボクシンググローブを取り出す。中には100枚の小さな純金プレートが入っていた。「徹さんは芳子さんのために“金”を買っていたんです」と柿崎。全部で4500万相当だったが、うち900万円分を手数料としてもらう柿崎。河原井がそれを巻き上げ、芳子へ「これも使ってください」と渡す。芳子は無事、卓に借金を返済するのだった。

 柿崎は、卓と芳子を古いボクシングジムへ連れていく。そこは昔、卓と徹が戦った場所。柿崎は徹の八百長試合のワケを話す。当時、どうしても芳子と結婚したかった徹に、芳子は「そんなに私が欲しいなら、金メダルのかかった試合で負けてみな」と言ってしまったのだった。「バカな。そんなことであいつは負けたのか?」と卓。「ええ。あの勝負は八百長でなく、あなたの完全勝利だったんです。徹さんが欲しいものは金メダルではなかったのですから。それが弟さんからあなたへのラストリクエストです」と柿崎。

 無事、借金を回収し、八百長の謎も解明した柿崎に、卓は金のプレート二枚を渡していた。それもいつものように河原井に回収される柿崎で……。

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