イントロダクション
傍聴は、ワイドショーもぶっ飛ぶくらい超リアル!
ふとしたきっかけから、裁判所の傍聴席に初めて座ったフリーターの北森夫。
そこで見たのは、殺人・ストーカー・詐欺・恐喝にDV……。
驚くほど赤裸々な人間模様一。
傍聴席の女子高生にハッスルする裁判官。
ドクロ柄のトレーナー姿で出廷する殺人犯。
被告に容赦ない言葉を浴びせかけるドS女性検事。
そしてそれを、まるで芝居でも見るかのように楽しむ裁判傍聴マニアたち…。
裁く側も人間、裁かれる側も人間。そこにあったのは、まがうことないリアル。
どうしようもない人間の業、人が人を裁くことの難しさ…
そんな“傍聴”に人は次第に魅せられていく。
裁判員制度とは?
市民から選ばれた裁判員6名と裁判官3名で裁判を行う制度。
国民を司法参加させることで、市民が持つ日常感覚や常識を裁判に反映させるとともに、司法に対する国民の理解を図ることを目的としている。
なお裁判員制度が適用される事件は、地方裁判所で行なわれる殺人罪、傷害致死罪、強盗致死傷罪、身代金目的誘拐罪など、一定の重大な犯罪についてのみ。
キャスト
ストーリー
全国初の裁判員制度が始まったその朝。
フリーターの北森夫は東京地方裁判所(地裁)で傍聴券を求める列に並ぶバイトをしていた。北に声をかけてきたのが、趣味で裁判の傍聴をしている“傍聴マニア”の山野。「裁判ほど面白いものはない」という山野は、北を傍聴に誘う。
一度は断った北だが、偶然にミニスカートの可愛らしい女性・美和を見かけ、その後を追って裁判所の中へ。待ち受けていた山野は北に、その日行なわれる裁判が書かれた「開廷表」の見方と傍聴のノウハウを教える。傍聴はすべてタダ。人気のある裁判以外は傍聴券など必要なく、法廷の扉を開ければ裁判はすぐに見られる――そして北は初めての傍聴を体験すべく、408号法廷の扉を開いた。
408号法廷では交通事故の裁判が行なわれていた。被告人は車で被害者を撥ね、死亡させた白石(24)。事故が起きたのは早朝。眠たげな目で車を走らせていた白石は100キロを出して交差点を通過、突然飛び出してきたバイクをよけきれずに被害者を撥ねた。しかし白石側の信号は黄色。つまり被害者の信号無視だった。北は「俺も早朝ならスピードを出してしまうかもしれない」と白石に同情するが、立ち上がった白石を見てあ然とする。彼が着ていたのはドクロマークのトレーナーだったのだ!人を死なせて誠意を見せないといけない時に、そりゃないだろ!と心の中で叫ぶ。北は一転して「息子に謝って」と訴える被害者の母・和代の味方になる。しかし審理後、北は法廷の外で白石が和代に深々と頭を下げ、誠意を持って謝る姿を見て混乱する。「白石は不器用なだけかもしれない」――人間の業や裏側が見え隠れする裁判の傍聴に、北はすっかりハマる。
そんな北と山野が喫茶店で休んでいると、北が目を惹かれた女性・美和が入ってくる。美和は検事を目指す法学部の学生で山野とも顔なじみだった。北は美和に誘われ、725号法廷での強制わいせつ裁判の傍聴をすることになる。被告人・木村は40代の会社員。事件の日、木村はドラッグストアで万引きをした16歳の高校生・愛を言葉巧みにホテルに連れ込み「言うことを聞けば、万引きのことは誰にも言わない」と無理やりわいせつ行為をし、裸の写真を撮ったという。北は木村を「最低なヤツ」と軽蔑するが、木村の妻・加奈の証言を聞いて仰天する。加奈は子どもが生まれた後8年もの間、夫とのセックスを拒み続け、代わりに女子高生もののアダルトDVDを与えていたというのだ。証言ひとつで被告人・木村が別人に見えてくることに驚く北。が、その後の法廷でさらに事態が一変する――
フリーターの北森夫は “傍聴マニア”の山野、検事を目指す法学部の学生・美和に出会い、裁判の傍聴にハマった。
この日、北は山野のアドバイスで女性が被告である刑事裁判を集中的に傍聴することに。女性の刑事裁判は全体の1割しか行われず、被告が美人の場合もあるという。北と山野は期待に胸を膨らませつつ、まずは406号法廷「窃盗」の裁判を傍聴する。被告の名は松田誠子=マツダセイコ。だが名前のイメージとは違って不細工な被告にがっかり。次は317号法廷の進藤カレン。が、残念ながらメタボなおばさんだった…。望みは522号法廷の被告・姫野由紀。名前の美しさに期待をかける2人だが、被告はなんとおじさん!名前は由紀(よしのり)と読ませるのだった。「ふりがなふっとけよ!紛らわしい」と怒る2人。開廷表に被告が男か女かは書いていないのだ――。
残るは714号法廷の被告・山田恵。驚いたことに、この法廷には男性ばかりの人だかりが出来ていた。そして山野はこの裁判が、半年前にマスコミを賑わせた「淫乱女教師の特別レッスン」事件だったと思い出す。美人教師・恵が男子生徒にセックスを教えたというのだ。入廷した被告・恵はセクシーでスタイル抜群の美女!歓喜する北と山野の前で、恵の「東京都青少年健全育成条例違反」の裁判が始まった。
月明かりが照らす夜の教室で男子生徒と向き合い、生徒のズボンをするりと脱がしていく恵――検察官の質問から導き出される事件当日の回想に、北と山野は大興奮。証言席に立った恵は、始めは生徒の告白に答えようとしたこと、その後47人もの生徒と性交渉を繰り返したと答える。さらに検察官は追い討ちをかけるように「一度に何人もの生徒とセックスをしたことがあるか?」と質問。傍聴席は固唾を飲んで見守る。しかし裁判官は「もう十分」と冷静にストップをかけた。がっかりする北に美和は、感情を抑え事実と向き合わねば判決は下せないと教える。北は裁判官のように冷静になって傍聴してみようと考え始めた。
次は715法廷の「恐喝」。被告は30代の三崎カオリ。事件はカオリが4年前に別れるまで、8年間不倫関係にあった上司を「関係をばらす」と恐喝し、350万円を要求したというものだ。被害者である不倫相手本人も登場し、裁判はがぜんおもしろくなってきた。しかし弁護人はよれよれのスーツを着た72歳のおじいちゃんだ。いかにも頼りなさそうな弁護人に不安を覚える北だが、この弁護人が思わぬ活躍を見せる。なぜカオリは元不倫相手を脅したのか?なぜ350万円なのか?そこには意外な事実があった――
傍聴にハマったフリーターの北森夫は今回、615法廷での「ストーカー規制法違反」の裁判を傍聴する。
事件はキャバクラ嬢・桃花が、客の田浦をストーカー行為で訴えたもの。20代の若い娘に熱を上げ、接客行為を恋愛と勘違いした哀れな30男の犯罪か……と思いきや、田浦は「彼女とは付き合っていた。僕はストーカーではない」と起訴状を全面否認。検察と弁護人の主張がまるで食い違う初の否認事件に、北は興奮を隠せない。弁護人は田浦が「桃花のプライベートな携帯番号を知っていたこと」「お互いの家を行き来する仲だったこと」「田浦の両親に桃花が会っていること」を交際の根拠として挙げる。なるほど確かに2人は付き合っていたのかもしれない――。
無罪判決もありえるかも?と意気込む北を、傍聴仲間の美人女子大生・美和は「無罪なんて刑事事件の1%もない」とバッサリ切り捨てる。そんなとき北と傍聴マニアの山野は美和がダンディな紳士と会っている場面を目撃し、こっそり後をつけてしまう。ホテル街で美和たちを見失い、落胆する北と山野。そして北は「これってストーカー行為か?」と考えてしまうのだった。
そして桃花の証言の日。一緒に傍聴する美和を、北と山野は思わず疑惑の目で見つめてしまう。やがて証言台に立った桃花は「田浦を客としてしか見ていなかった」とその根拠を挙げていく。やはり田浦の勘違いだったのか?北の心は揺れ動いていた。しかしここで弁護人が驚くべき指摘をする。桃花は田浦と1度だけ性交渉を持っており、しかも桃花は処女だったというのだ――!
単なるなりゆきや営業行為でできるものか?再び北の心は揺れ始める。その後の弁護人質問で、次第に2人の関係が明らかになっていった。田舎から上京したばかりの桃花を田浦が初めて指名したこと。2人が店外デートを重ねて親しくなったこと。田浦のおかげで桃花が店のNO.1になれたこと。が、桃花が売れっ子になったことを田浦は喜ばなかった。これは次第に自信をつけて変化していく女と、変化を望まなかった男のすれ違いが生んだ事件だった。
桃花の口からすべての理由を聞いた田浦は号泣し、自分がストーカーをしていたことを認める。
傍聴後、ストーカーと純愛の境界の難しさを改めて実感する北。
しかしそんな思いを持ちつつ、北は山野とともに再び美和を尾行してしまうのだった――。
傍聴にハマったフリーターの北森夫は今回、412号法廷での「覚せい剤取締法違反」の裁判を傍聴する。
が、傍聴席に入ったとたんにびっくり!周りは全員、暴力団関係のコワモテ軍団で埋め尽くされていたのだ。そして被告人に「懲役15年」の判決が出たとたん、男たちは「組長!お勤めがんばってください!」と叫んだ。傍聴マニアの山野によると、組長が裁かれるときには組員が見届けに行くのだという。その迫力にすっかりビビッてしまった北は「もう覚せい剤裁判はこりごり」と言う。
が、北はロックバンド「ポチョム菌」のボーカル・エイゼンシュタインが被告人の覚せい剤裁判あると知り、一転して興味津々になり傍聴に向かう。北は「ポチョム菌」の大ファンだったのだ。
傍聴席にはバンドのギター・ショスタコの姿もあった。「サインもらえないかな」と興奮する北は、美和にうっとうしがられる。しかし北は裁判官が「エイゼンシュタイン、本名・田中五郎」と言うのを聞いて「そんなに普通の名前だったのか…」とガックリ。しかも田中はスーパーで柿を万引きして取り押さえられ、その際に覚せい剤が見つかったという。ロックスターのあまりにもダサい事件にあ然とする北。さらに北はバンド仲間で親友あるはずのショスタコが「田中は詩を書いていたというのは嘘」「田中は田舎モノでキレると方言が出る」などと証言したことにショックを受ける。
自分がいざというとき、助けてくれる友人はいるのだろうか?田中も寂しかったんじゃないだろうか――?と考え、落ち込む北。
数日後、北は再び田中の裁判を傍聴に行く。田中は反省の色を見せず、弁護側の情状証人も拒否するなど、弁護士もなすすべがない。が、田中は美人検察官の星川にある事実を突きつけられる。そのとき、傍聴席からある男が立ち上がった!
傍聴にハマったフリーターの北森夫は、507号法廷での「殺人未遂・銃刀法違反」の裁判を傍聴する。検察官は美人で攻めも鋭いビューティー星川。被告人は美人の芹沢夕実(21)。北と傍聴仲間の山野は「ダブルビューティーだ」と浮かれる。
被告人の芹沢は大学医学部に通う学生で、教授も一目置くほどの秀才だった。芹沢は医学部でエリートコースを辿る男・茅ヶ崎と恋愛関係になったものの、半年後茅ヶ崎に新しい恋人ができたために別れを告げられる。しかし芹沢は諦めきれずに茅ヶ崎の恋人をマンションで待ち伏せ、金槌を後頭部めがけて振り下ろした。被害者の女性は全治10ヶ月の重傷。検察側の証人として法廷に立った茅ヶ崎は、芹沢が常に完璧を求める女性であったこと、その嫉妬深さゆえに別れたこと、しかし、自分には愛されていた実感がなかったと証言する。その証言に対し芹沢は反省の色もなく「自分は負けたわけじゃない」とつぶやく。北はそんな芹沢を見る山野の視線がいつになく真剣なことに気づく。さらに傍聴後、山野は「あの女は自分の目標のために一心不乱に進んできたんだ」と芹沢をかばう発言をし、北と美和は困惑する。その後、北は山野が弁護士の村田と知り合いだったことを知り、山野には過去に罪を犯した経験があるのでは…?と疑う。
数日後、北と美和は山野の口からその意外な過去を聞くことになる。山野は昔、弁護士を目指していたが司法試験に受からず、10年粘った末に諦めたのだという。山野は「当時は負けたら人生おしまいだという思いに支配されていた」と語り、ゆえに芹沢に共感していたことを打ち明ける。そして審理の日。依然として「被害者の女性を消せば、自分が一番になっていた」と言い張る芹沢に、傍聴席にも沈黙が訪れていた。そんなとき弁護人から緊急の情状証人の申請が出る。証人は芹沢の父。そして彼は娘が事件を起こしたのは自分のせいだと話し始めた――。
傍聴にハマったフリーターの北森夫は、702号法廷での「殺人未遂」の裁判を傍聴する。 被告人は右田玲(27)。 彼女を見たとたん、北は目を見張る。そして玲も北に気づいた。なんと玲は北の高校時代の親友だったのだ!
玲は演劇部の部長を務め、東京で女優を目指しているはずだった。「あの玲が殺人未遂!?」と信じられない北。そして玲の裁判が始まった。
玲は劇団養成所の同級生だった狭山を包丁で刺し、重傷を負わせたという。しかし裁判官に対し玲は「刺したことは間違いないが、それ以上は言いたくない」と黙秘をする。北はなぜ玲が黙秘するのかわからない。そして被害者・狭山が証言席に立った。狭山は玲と恋人同士であったこと、自分の浮気が原因で口論になり刺されたと話した。弁護人・豊田は狭山に、2人が週に1度くらいしか連絡を取っていなかったことや、玲が周囲に「彼氏はいない」と言っていたこと、また玲が事件当日、狭山に50万円もの大金を渡していたことをあげ、2人が本当に恋人同士だったのかを追求する。要領を得ない狭山を前に、北はますます玲が黙秘をする理由がわからず混乱する。 傍聴仲間の美和は北に「傷害であれば執行猶予の付く可能性が高いが、このまま黙秘すれば殺人未遂で実刑の可能性がある」と話す。そして美和は北に一枚のメモを渡した。
北はメモを見ながら東京拘置所にたどり着き、玲に面会する。玲は劇団を辞めたことなどを北に話すが、黙秘をしている理由は話さない。そして玲は北に「こうなったのも森夫のせいだよ。私の卒業アルバムに森夫がなんて書いたか覚えている?」と冗談めかして話す。北は玲のいた劇団に聞き込みに行き、玲が狭山を嫌っていたことを知る。やはり狭山は恋人などではなかった。さらに北は玲の卒業アルバムを見る。そこには「玲ならスカーレット・オハラになれる!」と書いてあった。そして北は思い出した。玲が「風と共に去りぬ」のヒロインから芸名を取り、小原ひいろと名乗ると言っていたことを…。ここに事件のヒントがある。そう確信した北はインターネットで「小原ひいろ」を検索する。果たしてそこには、意外な事実があった!
そして審理の日。北は情状証人として証言席に立った――。
傍聴にハマったフリーターの北森夫は、721号法廷の「殺人未遂」を傍聴する。被告人・久保貴史はモデルの恋人の浮気を疑い、彼女の家に押しかけてキッチンにあった包丁で彼女を刺し重傷を負わせた。殺意はなかったという久保に、美人検察官・ビューティー星川は被害者の携帯電話の受信ボックスの最大保存数が一件足りない事実を上げ、被告人が被害者に脅迫メールを送り、その後証拠隠滅のためそれを消去したのではないかと問い詰める。さらに星川は脅迫メールに怯えた被害者がメールを別の男性に転送したこと、ゆえにメールが送信ボックスに残っていることを突き止めていた。
メールの内容は「オレと別れるつもりなら殺すぞ」――動かぬ証拠を突きつけられた久保は観念した。ビューティー星川の鮮やかな責めに、北も山野も惚れ惚れとする。そんななか北は美和が星川の裁判時にはいつにもまして真剣なことに気づく。
裁判の後、北は美和に「金曜日、ちょっとつきあって」と言われウキウキ。北は美和に恋している自分に改めて気づく。そして金曜日。美和が向かった先は埼玉地方裁判所。今日はここで裁判員裁判があり、傍聴券に当たる確率を上げるため、美和は北を誘ったのだ。そこにはなんと山野も傍聴券を求めてやってきていた。デートではなかったと知り、がっかりする北。そんな北を見かねた山野は「美和と話をして、ちゃんとフラれてこい」と北の背中を押す。
そして北は美和になぜ検察官を目指すのか、なぜ裁判を傍聴するのかを聞く。わずかに思いつめた表情になった美和は、少しずつ自分のことを話し出した。そこには美和が高校時代に経験した悲惨な事件と、検察官・星川との意外な接点があった――。
傍聴にハマったフリーターの北森夫は傍聴仲間の山野や美和と、最近男の被告が泣く裁判のパターンが多すぎると話す。「ムショはつらいから刑を軽くしてくれ」と泣くスーパーの万引き男、酒を飲んで大暴れし「金輪際酒は飲みましぇん!」と大泣きする男――そんな裁判にうんざりしていた北たちは、その日、その場にいた誰もが涙を流さずにいられない、ある裁判を傍聴することになる。
413号法廷の「自殺幇助」。被告人・根府川省造は、妻・雅子と首を吊って心中しようとし、自分だけ生き残ってしまった。彼がロープを結んだことから、自殺幇助の罪に問われていた。検察官の質問に答える根府川は、ずっと妻とともに生きてきたこと、自分には妻がすべてだったこと、その妻に「一緒に死んでくれる?」と言われたからそれに従ったのだと話す。まるで映画にでも誘われたかのような切迫感のなさに、北たちは唖然とする。
が、検察官によって意外な事実が明かされる。妻は根府川に隠れて1000万円もの借金をしていたのだ!だがそれを知っても根府川の妻を思う気持ちは変わらなかった。その後、弁護人の質問によって根府川と妻の過去が明らかになっていく。2人の出会いは銀座のバー。中学もロクに出ずケンカばかりしていたボーイの根府川に、ホステスだった妻が優しく声をかけたこと。漢字の読めない根府川に、妻が根気強く漢字を教えてくれたこと。やがて二人は結ばれ、幸せな結婚生活を送ったこと……。
しかし、そんな2人に少しずつ悲劇の影が忍び寄っていく。 そしてさらなる衝撃の事実が明かされたとき、法廷内の誰もがすすり泣き、嗚咽をこらえていた――深く愛し合っていた夫婦に、いったい何があったのか?
傍聴にハマったフリーターの北森夫は、街でティッシュ配りのバイト中に援助交際らしき女子高生とおじさんのカップルを目にする。「援交してる人間って世の中にどのくらいいるのだろう?」――そして北は援助交際が絡んだ608号法廷の「児童買春、児童ポルノに係わる行為等の処罰及び児童の保護に関する法律違反」を傍聴する。被告人は鶴見康志(42)。まず被害者のミカ(16)はパソコン上の中高生が集まるコミュニティサイトで、同い年のマキと知り合った。ミカはマキから「金持ちのおじさんとエッチなことをするバイトがある」と誘われ「二人で一緒にやるなら安心だ」と承諾する。しかしミカが待ち合わせ場所に行くとマキから「急用で行けなくなった」とのメールが。そこに被告人・鶴見が現れ、ミカはしかたなくラブホテルに向かったという。北は援交を斡旋したマキも問題だと憤慨するが、検察官・星川の追求から思いがけないことが明らかになる。なんと鶴見は「藤井マキ」の名でコミュニティサイトに登録し、女子高生のふりをして自作自演で少女をおびき出し援交をしていたのだ。鶴見には高校生の娘・真里菜がおり、娘からそのサイトを教わり犯行を思いついたという。しかも鶴見はミキとのセックスを隠し撮りしたうえ、約束の代金5万円を払わずに逃げていた。卑怯な手口に唖然とする北。鶴見は同様の手口でほかにも3件の余罪があった。だが鶴見は逮捕される4ヶ月前に援助交際をやめ、撮影したビデオもすべて処分したという。この手の犯罪は再犯率が高いと山野や美和はひややかだが、北は鶴見が本当に反省しているように見えた。きっぱりと援交をやめるきっかけがあったのかもしれない――そしてその後、北の想像を超える衝撃の事実が明らかになった!さらに北は法廷にいた鶴見の妻・由貴に「人の不幸を見るのがそんなに楽しいのか」と詰め寄られ、たじろいでしまう。自分は何のために傍聴をしているのか?――悩んだ北は傍聴をやめることを決心し、山野や美和ともケンカ別れしてしまう。そんな北のもとに一通の封書が届く。なんとそれは「裁判員裁判呼出状」だった――!
傍聴にハマったフリーターの北森夫。が、ある裁判で被告の妻から「人の不幸を見て楽しいのか」と非難されたことから傍聴をやめる決心をし、ケンカ別れした山野や美和とも疎遠になってしまう。
そんな北のもとに、なんと裁判員裁判の呼び出し状が届いた。そして北は725号法廷「殺人」の裁判に出向く。傍聴席にいた山野と美和は、裁判員として現れた北を見て驚く。被告人・早川勝は図体の大きい強面の男だ。いかにも、という印象を受ける北だが「第一印象で判断するのはやめよう」と思い直す。
早川はかつて社会人ラグビーのスター選手だった。しかし練習中にチームメート井口のタックルを受けて負傷。選手生命を絶たれ、会社もリストラされてしまう。その後、再就職できずネットカフェ難民になった早川は井口への恨みを募らせ、帰宅途中の井口にタックルし、後頭部を強打させ死亡させたという。早川は弁解することもなく裁判官に「私を死刑にしてください!」と懇願し、法廷内の人々を驚かせる。弁護人は早川が殺意を認めているものの、気を失った井口を見てすぐに救急車を呼んでいることを指摘し、殺す意志はなく傷害致死罪が妥当と話す。殺人か傷害致死か。裁判員として判断を迫られた北は、傍聴席にいるときとの責任の重さを改めて感じていた。
評議室に集まった裁判員は若い女性、職人風の中年男性、定年を迎えた老人、中年主婦、インテリ風サラリーマン、そして北の6人。殺人ならば死刑か無期懲役または5年以上の有期懲役、傷害致死ならば3根に上の有期懲役になる。殺意の有無によって刑の重さがまるで違ってくる。ほかの裁判員たちは殺意は明確であり殺人罪だと言うが、北は「本当に殺意があったら凶器を使ってもいいはず」と考えていた。北は意を決して「決めるのはまだ早い」と発言し、結局結論は出ないまま終わる。その後、北は待ち構えていた山野につかまり「判決は殺人か傷害致死か?」と迫られるが、守秘義務があるので教えることはできない。そんな北に美和は黙って殺人と傷害致死の定義を書いたメモを渡す。
そして公判二日目。法廷ではラグビー選手のタックルの威力についての証言などが行われ流れは完全に殺人罪に傾いていた。モヤモヤした思いを抱えながら、北もついに「殺人だと思う」と答え、裁判員全員の意見が一致した。その夜、北のアパートを山野が訪ねてくる。山野は北が破り捨てた傍聴日記をテープで補修していた。山野はそれを北に渡し「傍聴マニアとしての経験を生かせ」と叱咤する。日記のページには美和からもしっかりしろ!とのメッセージが書かれていた…。北は気持ちを奮い立たせ、裁判の経緯を見直していく。やがて北はある疑問に突き当たった。
そして公判三日目。
北は勇気を奮って被告人にある質問をする。そしてその質問は、被告人が言おうとしなかった真実の扉を開くことになる――。
音楽
スタッフ
原作 | 松橋犬輔・北尾トロ 「裁判長! ここは懲役4年でどうすか」 (新潮社・週刊コミックバンチ)講談社 |
脚本 | 田村孝裕 山岡真介 |
音楽 | 松本晃彦 |
主題歌 | 「かけらー総ての想いたちへー」 NICO Touches the Walls (Ki/oon) |
演出 | 佐野達也 本田隆一 仁木啓介 |
チーフプロデューサー | 田中壽一 加藤義人(テレビマンユニオン) |
プロデューサー | 岡本浩一 杉田浩光(テレビマンユニオン) 小林みつこ(テレビマンユニオン) |
DVD情報
「傍聴マニア09 ~裁判長!ここは懲役4年でどうすか~」
- 発売日
- 2010年3月19日(金)
- 価 格
- DVDセル専用 15,960円
- 仕 様
- カラー/片面1層/16:9/本編約300分(全10話収録)/本編ディスク4枚+特典ディスク1枚(約110分)/音声:オリジナル2.0chドルビーデジタル
- 特 典
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- メイキング「傍聴マニア 80日間の記録」
- ≪ スペシャル対談 ≫
向井 理、六角精児、北尾トロ(コミック『裁判長! ここは懲役4年でどうすか』原作者)「これを見れば傍聴のすべてが分かる!」 - ビジュアルコメンタリー「北森夫を見る・・・向井理の素顔(聞き手:本田隆一監督)
- スピンオフムービー「検察官・星川梨沙子 最大の危機」
- 予告PR集
- 向井理 フル出演!番組主題歌「かけら ―総べての想いたちへ―」NICO Touches the Walls プロモーションビデオ 完全ノーカット版(6分23秒)
- ≪ 封入特典 ≫
向井 理、南 明奈、六角精児フォトブック
- 品 番
- TDV20090D
- 発売元
- テレビマンユニオン、読売テレビ
- 販売元
- 東宝
- POS
- 4988104054906