◆ことばの話2121「大騒動」
日本テレビのTさんからメールが来ました。
「『大騒動』の読みを私はずっと『おおそうどう』だと思っていましたが、最近、映画『シャークテイル』のCMで『だいそうどう』と言っています。『広辞苑』にはどちらも出ていません。どちらが正しいのでしょうか?」
そりゃあ、もちろん、
「おおそうどう」
が正しいでしょう。CMのナレーターが、間違って読んでるだけじゃないの?と思いましたが、一応調べて返事を出しました。
『「大騒動」はやっぱり「おおそうどう」でしょう。『NHK日本語発音アクセント辞典』『NHKことばのハンドブック』も「おおそうどう」しか載っていません。
このあいだから、用語の懇談会の放送分科会で検討している『新聞用語集』の改訂でも「オー」で読む中に「大騒動」がちゃんと入っていました。「NHKことばのハンドブック」354ページに「『大』の付く語の読み方」というコーナーがあって、基本的に、漢語に付く「大」は「ダイ」、和語に付く「大」は「オオ」と書いてあります。それとは別に、漢語なのに「オオ」が付くものも慣用的にあるとして、
大一番、大火事、大げさ、大げんか、大御所、大散財、大地震、大時代、
大掃除、大騒動、大道具、大入道、大番頭
という例が挙がっています。ただ「大地震」「大舞台」「大時代」などの「大」を「ダイ」と読む人も増えていて、これは本来の漢語的なものに戻りつつあることを示しているのだとも言え興味深い、と記してあります。
2月21日の読売新聞・大阪版の夕刊コラム「ことばのこばこ」に武庫川女子大学・言語文化研究所の佐竹秀雄先生が「大地震」というタイトルで書いていました。それによると、
『「ダイ」と読む例と「オオ」と読む例を比べても、規則性は認めにくい。あえて言うなら漢語でも身近に感じる語の場合には「オオ」になりやすいと言えるかもしれない。その程度である。』
ということです。つまり「大騒動」という言葉と、それを使う人との親密度(よく使うかどうか)によって、「オオ」と言うか「ダイ」というかは変わってくる。余り使わない、言葉の歴史を知らない人の方が「ダイ」と言い、この言葉をよく使い歴史を知っている人は「オオ」と言う傾向がある、ということですね。
また『日本国語大辞典』には「大騒動」は「おおそうどう」の見出しで載っていました。用例としては、17世紀のものが載っていました。「だいそうどう」はありませんでした。』
また、「大」の読み方の関連で言うと、昨日(3月23日)のニュースで、ライブドアの堀江貴文社長、通称・ホリエモンが、「大株主」のことを、
「ダイカブヌシ」
と言ってましたが、これもやはり従来、
「おおかぶぬし」
と読むべきものでしょう。堀江社長はもしかしたら「大金持ち」を、
「ダイカネモチ」
と読むのかな? 2005/3/24 |