◆ことばの話610「丸投げでないか」

鈴木宗男シリーズ(?)第三弾! 鈴木氏の地元は釧路、帯広。これは選挙区。もともとは帯広の出身と聞いています。そういう意味では生っ粋の道産子です。



その鈴木氏の口調で特徴的な点を、同じく北海道は釧路出身のSアナウンサーが指摘しました。



「ムネオさんは、たとえば"丸投げでないか""行くんでないかい""いいんでないかい"のように、共通語で言うと"丸投げではないか""行くんではないか"のように"は"が入って"では"となるところで、"は"が抜けてますけど、これって北海道弁の特徴なんですよね。」



ホウ、そう言われてみればそうですね。



また共通語の口語ではこの「では」が「じゃ」に変わって「丸投げじゃないか」「行くんじゃないか」「いいんじゃないか」となることも多いですね。



北海道弁では、なぜ「は」抜けになるんでしょうかね。



また、調べておきますね。



え?今回はそれだけかって?



まあ、たまには短いのも、「いいんでないかい」。

2002/3/14


◆ことばの話609「鈴木証人」

平成ことば事情608「疑惑のデパート」に続いて、鈴木宗男氏の証人喚問で、耳に止った言葉の話。



津島雄二・衆議院予算委員長が議長を務めるため、質問者と、答弁する鈴木氏の名前を交互に呼ぶシーンが、2時間にわたって続いたのですが、質問と答弁がそれぞれ短いと、まるで「テレビ将棋」でそれぞれの手を読み上げている人みたいな感じになっていましたが。



この日は証人喚問なので、呼び付けられた鈴木宗男氏は、



「鈴木証人」



と呼ばれていました。その「証人」のアクセントが、人によって微妙に違ったのです。



津島委員長は、



「鈴木証人(LHH LHHH)」



と「証人」の部分は「LHHH」と平板アクセントで、「鈴木」と「証人」は別の言葉として認識されているようでしたが、質問者の中には、コンパウンドして「鈴木証人」が一つの言葉として認識されているためか、



「鈴木証人(LHH HLLL)」



となっていました。しかしこれでは、「証人」(LHHH)ではなく「商人(HLLL)」です。「鈴木商人」です。



「ベニスの商人」みたいです。



まあしかし、トイレットペーパーに至るまで品物をチェックしたり、入札に関わったりということが本当だとすると、やはり津島委員長の発音ではなくて、質問者の皆さんのアクセントの方が正しいのかもしれません・・・。

2002/3/14


◆ことばの話608「疑惑のデパート」

3月11日(月)、さまざまな疑惑の渦中の人・鈴木宗夫衆議院議員が、国会で証人喚問を受けました。



言葉の面からいえば、あの独特の調子で「記憶にないということは、明確にしておきたい」とか「いかがなものか」など、早くも年末の「流行語大賞」にノミネートされそうなセリフを連発している人です。



その鈴木氏本人をさして、マスコミは、こう呼んでいます。



「疑惑のデパート」



この場合「デパート」というのは、いろいろな品物が数多く揃っているということの「たとえ=比喩」ですね。



以前、大相撲の舞の海関が、



「技のデパート」



と呼ばれてことがありましたが、マスコミは「デパート」が好きなようですね。



関西では一般に「百貨店」と言われることも多く、また「デパート」ではなく「デバート」と「パ」を濁って「バ」というおばちゃんもいます。



しかし、「お灸をすえる」という表現に対して針灸師団体が、「将棋倒し」という表現に対して将棋連盟が「使わないように」申し入れたように、今回の「疑惑のデパート」について、デパート業界の団体が、



「デパート業界は、そのような疑惑とも、また鈴木宗夫議員とも全く関係がないということは、明確にしておきたい。」 「疑惑というマイナスイメージの伴う言葉と"デパート"を一緒に使うのは、いかがなものか。」



などという申し入れをした、という事実は、今のところありません。



そうこうしているうちに、社民党の辻元清美議員が、例の大阪弁で、



「あなたは"疑惑のデパート"と呼ばれてますけど、"疑惑の総合商社"ですよ!」



と言ってました。



総合商社から「そのような使い方は、いかがなものか」という声は・・・今のところ上がっていません・・・。

2002/3/14


(追記)



この証人喚問からもう2週間以上経ってしまい、ニュースの話題の主は、ムネオ氏から辻元氏へ、そしてまた加藤紘一氏へとめまぐるしく動いていて、「疑惑の総合商社」発言も過去の「歴史」と化してしまいました。ハア。

2002/3/28


(追記2)

また、メモが出てきました。3月19日、テレビ朝日(12:06)に出ていた、民主党の中川正春氏は、



「疑惑の百貨店と・・・・・・」



と言っていました。大体、関西の人はいまだに「百貨店」と言いますが、関東においては「百貨店」は死語に近いでしょう。「デパート」が普通ですよね。

2002/4/12


◆ことばの話607「日経新聞の日の丸の写真〜完結編」

読売・朝日・毎日・産経と全国紙4紙にわたって、昭和38年(1963年)の第1回から、去年(平成13年・2001年)までの、8月15日に行われた全国戦没者追悼式の様子を伝えた記事とともに載っている、1面の写真に、日の丸が写っているかどうかを調べてきました。



で、4紙まで調べると、やはりもう1紙、日本経済新聞も調べたくなるものですよね。幸いにして、大阪府立中之島図書館には、日経新聞の縮刷版が置いてありましたから、調べることにしました。これで一応全国紙5紙を調べたことになります。(産経は大阪版のマイクロフィルムですが)



傾向がわかりやすいと思いましたので、一覧表にしてみました。○が日の丸の写った写真が載っていた年、×は写っていなかった年です。そして、※印は、写真そのものが載っていなかった年です。





読売
朝日
毎日
産経
日経
1963
(昭38)
64
( 39)
65
( 40)
×
×
66
( 41)
×
×
67
( 42)
※×
×
68
( 43)
×
69
( 44)
×
※×
70
( 45)
×
×
71
( 46)
×
72
( 47)
×
×
73
( 48)
×
74
( 49)
×
75
( 50)
×
×
×
76
( 51)
×
77
( 52)
×
×
78
( 53)
×
×
79
( 54)
×
×
×
80
( 55)
×
※×
×
81
( 56)
82
( 57)
×
×
83
( 58)
※×
×
84
( 59)
×
×
85
( 60)
×
×
86
( 61)
×
×
×
87
( 62)
×
×
88
( 63)
×
×
×
×
89
(平1)
×
×
×
※×
×
90
( 2)
×
×
×
×
×
91
( 3)
×
×
×
×
×
92
( 4)
×
×
×
×
×
93
( 5)
×
×
×
※×
×
94
( 6)
×
×
×
×
×
95
( 7)
×
×
×
96
( 8)
×
×
×
×
97
( 9)
×
×
×
98
( 10)
×
×
×
×
×
99
( 11)
×
※×
×
※×
※×
2000
( 12)
×
×
×
×
1
( 13)
×
×
×
×
×
2

( 14)

×
×
×
×
×
3 ( 15)
×
※×
×
×
×
4 ( 16)
×
×
×
※×
×
5 ( 17)
×
×
×
×
6 ( 18)
×
※×
×
×
×
7 ( 19)
×
×
×
×
8 ( 20)
×
×
×
9 ( 21)
×
×
×
×
10 ( 22)
×
×
×
×
×
11 ( 23)
×
×
×
×
×
12 ( 24)
×
×
×
×
13 ( 25)
×
×
×
×
※×
合 計
 
25(0)
18(2)
22(2)
20(3)
10(5)


読売
朝日
毎日
産経
日経


ただし、朝日の1974年(昭49)は、1面ではなく2面に写真が載っていました。

また、日経の1968年(昭43)は、1面ではなく7面(社会面)に写真が載っていましたが、日の丸は写っていませんでした。

最後の合計というのは、39回のうち日の丸が写った写真を載せた回数の総計で、( )内は、そのうち平成になってから日の丸の写真を載せた回数です。

いかがでしょうか。

日経新聞が思いのほか、日の丸の写った写真を載せていないのが気になります。39回のうち日の丸を写したのは、わずかに6回です。

回数の多いほうから言うと、【1】読売【2】毎日【3】産経【4】朝日【5】日経です。

当初の予想の「産経は日の丸をたくさん載せているのではないか?」というのは見事に外れましたね。

ここから考えたことを書き連ねてみます。

まず、平成になってからの13年間で日の丸の写真をのせたのは、5紙あわせてたったの6回しかありません。読売にいたっては0回、つまり1回も載せていません。これはこれまでも述べたように、「戦没者追悼式」という行事に性格上、あきらかに

「日の丸」=「戦争責任」

という図式が成り立ち、その同じ写真の中に「昭和天皇」を映り込ませることは、ジャーナリスティックな視点から言って「可」なのですが、今上天皇と日の丸を一緒の構図に収めることは、意図するところと違う、ということではないのでしょうか。

しかしそうは言っても平成になってから6回だけ、日の丸が写った写真が載っています。

これは何を意味しているのでしょうか。

また、なぜ、右寄りのスタンスと見られる産経は、あまり日の丸を載せていないのか?これに対して、ある先輩がこんな見方を教えてくれました。

「日の丸に頭を下げている天皇の構図は、載せたくないんじゃない?」

なるほど、そういった見方もあるのか。

なかなか奥が深いですね。 まだまだいろいろ考えることが出来そうですね。

とりあえず、ここで一旦筆を置きます。(って、筆は持ってないんだけど。パソコンだし。)

2002/3/22


(追記)

今年(2002年)も8月15日がやってきました。全国戦没者追悼式が日本武道館で行われました。その様子が各新聞の夕刊に載っていました。それによると、写真に日の丸が写っていたかどうかを○×で表すと、

(読売)×
(朝日)×(戦没者墓苑で花束を持つ小泉首相のアップ)
(毎日)×(武道館に入ろうとする遺族の姿)
(産経)×
(日経)×


でした。やはり今年も「日の丸」を掲載した新聞社は、1社もありませんでした。
表を見ていて思ったんですが、1997年に2社が日の丸を載せたのは、日の丸の「国旗・国歌法」が制定された年ではなかったのでしょうかね。また確認しておきます。

2002/8/16


(追記2)

今年も8月15日がやってきました。その15日夕刊に、日の丸が写っていたかどうか、です。恒例となりました。今年は日本時間の15日早朝に、カナダ・アメリカで大停電が起きたので、そのニュースが各紙トップ記事です。その横の1面に、戦没者追悼式の記事は載っています。日の丸の写真が載っていれば○、載っていなければ×です。また、( )内は写真に写っているものです。

(読売)×(右側から、一礼する天皇皇后両陛下と全国戦没者之霊の碑)
(朝日)×(1面に写真なし)
(毎日)×(千鳥ケ淵戦没者墓苑で手を合わせる老女)
(産経)×(左側から、一礼する天皇皇后両陛下と全国戦没者之霊の碑)
(日経)×(右側から、一礼する天皇皇后両陛下と全国戦没者之霊の碑)


ということでした。
また、「靖国神社(に)参拝した」か「靖国神社(を)参拝した」かは、

(読売)「を」
(朝日)「に」
(毎日)「に」
(産経)「を」
(日経)(靖国神社参拝の記事、載っていない)

でした。

2003/8/15


(追記3)

げげ、2年経ってる!2004年は調べるの、忘れてる!・・・そうか去年の8月15日はアテネオリンピック取材に行ってたから、コロッと忘れてたんだ・・・また図書館に行かなくては。
で、2005年を記しておきます。日の丸の写真は、
(読売)×(全国戦没者追悼式でお言葉を述べられる天皇陛下と皇后陛下を右側から)
(朝日)×(千鳥ケ淵戦没者墓苑で献花する小泉首相)
(毎日)×(千鳥ケ淵戦没者墓苑でさまざまな思いを込め手を合わせる人たち)
(産経)×(「全国戦没者之霊」の碑。舞台上に人はいない)
(日経)○(全国戦没者追悼式の会場に着席する参列者の向こうに、日の丸が正面から)

日経が日の丸を写しています。今年は戦後60年の節目の年でしたから、ちょっと例年と違いがあるのかも。
「靖国神社(に)参拝した」か「靖国神社(を)参拝した」かは、
(読売)「には」
(朝日)「を」
(毎日)「に」
(産経)(靖国神社参拝の記事、載っていない)
(日経)「を」

「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」(会長=瓦力・元防衛庁長官)は「に」ですね。


2005/9/23
(追記4)

今年も8月15日がやってきました。小泉総理が、就任時から公約としていた「8月15日の靖国参拝」を行ないました。8月15日各紙夕刊は、全国戦没者追悼式の記事よりも小泉総理の靖国参拝の記事の方が大きく取り上げられていました。その靖国神社「に・を」問題、今年はキッパリと分かれました。
(朝日)に
(毎日)に
(読売)を
(産経)を
(日経)を
と、右寄りとされる(?)新聞は「を」、左寄りとされる新聞は「に」でした。
日の丸の写真は、全紙掲載されず。
(読売)天皇皇后両陛下、右側から。「全国戦没者之霊」の碑と共に。
(朝日)全国戦没者追悼式の写真は誌面になし。※
(毎日)天皇皇后両陛下の右側からの後ろ姿をアップで。バックは黄色い菊の花。
(産経)天皇皇后両陛下、左側から。「全国戦没者之霊」の碑と共に。
(日経)天皇皇后両陛下、右側から。「全国戦没者之霊」の碑と共に。

朝日新聞社は靖国神社から取材を拒否されたという記事が載っていました。12日付けで靖国神社関連施設の地図を載せたことが警護上、行過ぎた報道だと抗議を受けて、「取材拒否」になったのだそうです。ふーむい、そうだったのか。よって朝日の写真の一部は通信社のものを使ったそうです。
あ、すみません2004年の8月15日写真、まだ調べていません!
2006/8/16
(追記5)

ようやく、中之島の府立図書館に行く時間と意志が整いまして、行ってきました。
2004年の8月15日の新聞を確認しに。行ってみて気づいたのですが、この年は15日が日曜日だったので、チェックする新聞は16日月曜日の朝刊でした。(×は日の丸なし)
(朝日)×(1面に写真なし。3面に全国戦没者追悼式で頭を下げ黙祷する天皇皇后両陛下と「全国戦没者の碑」と菊の花の山を、左側から撮影)
(毎日)×(1面に全国戦没者追悼式で献花する遺族代表数人と「全国戦没者の碑」と菊の花の山を、左側から撮影)
(日経)×(1面に写真なし。34面に全国戦没者追悼式に向かう参列者最高齢=95歳=広島市の岡村迪子さんと孫の二川由実さんの、日本武道館での写真。日の丸もなし、場内の写真もなし)
この3紙しかなかったので、会社の図書室で「読売新聞」を調べました。
(読売)×(1面に全国戦没者追悼式でおことばを述べられる天皇皇后両陛下と「全国戦没者の碑」と菊の花の山を、右側から撮影)

やはり読売・朝日・毎日・日経ともに「日の丸」はありませんでした。
産経新聞は、またミナミの大阪市立図書館に行ってマイクロフィルムを起こさないとダメですね。今度チェックします。
※2002年から2006年の分も、表に加えました。
2006/8/24
(追記6)

再びやる気が出てきて、西長堀の大阪市立中央図書館に行って、産経新聞のマイクロフィルムをコピーしてきました。
それによると2004816日の産経新聞1には、「全国戦没者追悼式」の記事は小さく59回目の終戦記念日・首相決意・世界平和に貢献」
という見出しで載っていましたが、写真は載っていませんでした。関連記事と書かれた2面26面も見ましたが、2面に写真はなく、26面の記事の写真も「全国戦没者追悼式」の写真ではありませんでした。
なお、トップ記事はアテネ五輪での水泳・男子平泳ぎ100メートル平泳ぎ・北島康介選手の金メダルでした。
2006/9/6
(追記7)

今年(2007年)も8月15がやってきました。今年「日の丸」の写った写真を載せたのは、日本経済新聞だけでした。朝日新聞は日本武道館での戦没者追悼式の写真を載せずに、 千鳥ケ淵戦没者墓苑の写真を、毎日新聞も1面には同じく千鳥ケ淵戦没者墓苑の写真で、2面に武道館の写真(日の丸なし)を小さく載せていました。
2007/8/17
(追記8)

今年の8月15日、63回目の終戦の日です。なぜだか、この日の夕刊で、産経新聞と日経新聞が、ロング(遠景)で、ステージ上に天皇陛下はいらっしゃらない時の、
「日の丸込みの写真」

を1面に掲載しました。「毎日新聞」は1面に写真はありませんでした(記事は1面のトップ)。「朝日」が、遺族が残暑の中戦没者追悼式に向かう様子を太陽込みでしたからあおるアングルで、「読売」はステージ上の天皇皇后両陛下と祭壇を右側から、「日の丸の映り込みなし」で撮影した写真を載せていました。
2008/8/19
(追記9)

今年も8月15日がやってきました。土曜日でした。夕刊各紙を比較しました。いま、去年の「追記8」を読んだら、分かりにくいので、各社ごとの比較がわかりやすく書きます。それぞれ1面です。
<日の丸・・・「○」は「あり」、「×」はなし>
(読売)×(「全国戦没者之霊」の碑に向かって右側から、左に天皇皇后両陛下)
(朝日)×(「全国戦没者之霊」の碑に向かって左側から、右に麻生首相)
(毎日)×(千鳥ケ淵戦没者墓苑。「終戦記念日の朝、親族3世代で悼む家族連れ」徒いうキャプション。)
(産経)×(「全国戦没者之霊」の碑に向かって左側から、右に天皇皇后両陛下)
(日経)○(「全国戦没者追悼式の開会を待つ参列者」というキャプションで、正面真ん中ぐらいの席からの撮影)

ということで、「日経」だけが「日の丸の写真」を載せていました。
毎日は、「全国戦没者追悼式」の介助の写真は1面にも社会面にも載せていませんでしたが、7面に小さく、 「全国戦没者之霊」の碑に向かって右側から、左に天皇皇后両陛下の写真(読売と同じアングル)「日の丸なし」で載せていました。
今年、写真を見ていて感じたのは、
「日の丸が写っていない黒い空間に、読者は何を思い浮かべるのだろうか?」
ということでした。
2009/8/17
(追記10)

4年ぶりにコメントを付けます。
今年の8月15日の夕刊も各社、「日の丸の写らない」全国戦没者追悼式の写真を載せていたのですが、日本経済新聞の最終版(4版)の前の「3版」のみ、
「日の丸の写ったロング(遠景)のステージの様子」
の写真を使っていたのです。最終版で「日の丸の写らない写真」に差し換えたのはなぜか?これは、
「3版の締め切りが早いため」
でしょう。「天皇皇后両陛下がお言葉を述べられるシーン」が撮影できるのであれば、その写真を使うでしょうが、「3版」の締め切りは午前中なので、そのシーンは撮影できない。それで、
「会場全体の様子」
を載せるしかないのではないでしょうか?「3版」のキャプションには、
「全国戦没者追悼式の式場に入る参列者(15日午前、東京都千代田区の日本武道館)」
とあります。この写真は、会場の後ろから日の丸と「全国戦没者追悼式」というタイトル、それに会場に入り始めた参列者の姿が写っていました。
あ、ということは、もしかしたら、日経新聞の2005年と2007年〜2009年に「日の丸の写真を写している」のも、私が自宅で取っている「日経新聞・3版」だったからかもしれませんね。それは確認していなかった!そうなると余計に「日の丸と天皇は一緒に写さない」ことになりますね。
また、毎日新聞は、武道館の「全国戦没者追悼式」の写真は載せずに、
「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」
で戦没者を悼み、花を手向ける人たちの写真(中心は、野球帽を被った男の子)を使っています。
2013/8/27


◆ことばの話606「オストアンデル」

梅花女子大学の米川明彦先生が書かれた「新語と流行語」(南雲堂・1989・12・5)という本を読んでいたら、懐かしいものが載っていました。

「オストアンデル」

ご存知ですか?・・・「押すと、餡、出る」つまり「まんじゅう(饅頭)」のことです。

私がこの言葉を知ったのは、確か小学校3年生くらいの頃だったと思います。父から聞いたのものです。このほか、

「ヒネルトジャー」(水道の蛇口)

「ヒネルトパッ」(電気=照明器具)

などというものもあったと思います。何十年かぶりに父に「こんな言葉小学校の時に教えてくれたよね」と聞くと父も、父の父、つまり私の祖父に教わったというではないですか。

どおりで、当時学校でこんな話をしても誰も知らなかったわけだ。三世代にわたって語り継がれたわけですね。きっとこんな言葉は、明治か大正時代に流行ったのではないでしょうか。

この本にはそういった言葉がたくさん載っていたのです。ちょっとご紹介しましょう。

「マアストカートル」

「オストデール」

「スポントワースル」

この3つは、何と江戸時代に平賀源内が考案したものだそうで、「マアストカートル」は「蚊取り線香」、「オストデール」は源内が考案した「三角の袋に糊を詰めた万年糊の商品名」、そして、「スポントワースル」は「記憶の悪い人」なんだそうです。スポンと忘れるから。

1918年7月27日の東京朝日新聞に「其日の話26」として載っているそうです。

このほか、1902年12月5日の「滑稽新聞」には、

「スワルトバートル」

「オストアンデル」

「イキムトヘーデル」

「ノムトヘル」

「フルトサス」

「コーバシー」

というのが載ったそうです。

意味は順に「袴」「饅頭」「放屁」「巻煙草」「傘」「炒豆」だそうですが、最後のは「珈琲(コーヒー)」でも良い感じがしますね。

さらに、1937年に出た「会社ユーモアモダン語辞典」の「和製英語」の欄には、山のように載っているようです。

「アクセンタム」(悪銭溜む=高利貸)

「アリヨール」(蟻、寄る=砂糖)

「アンクルム」(餡くるむ=大福餅)

「イエウゴーク」(家動く=地震)

「エウゴーク」(絵動く=活動写真)

「オープロシキー」(大風呂敷=うそつき)

もう、おわかりですね。こんな感じです。

「カットバース」(かっ飛ばす=野球)

「カムコリン」(噛む、コリン=せんべい)

「ガラクタウッテール」(がらくた売ってる=古道具屋)

「キャクトメール」(客泊める=旅館)

いまなら、「ホテル」ではなく、「客とメール」で、「メールのテレクラ嬢」なんて・・・ありませんね。

「クートプーデル」(喰うとプー出る=さつまいも)

「グルリアン」(ぐるり餡=おはぎ)

「クレルトオウフル」(呉れると尾を振る=犬)

「ケムノコール」(煙残る=汽車)

「コオンブス」(子おんぶす=子守り)

「ゴハンターク」(ご飯炊く=釜)

時代ですね。今なら「炊飯器」とか「ジャー」でしょう。「ジャー」の方が、和製英語っぽい。「ゴハンターク」は「和製英語」と言うよりも、「和製ドイツ語」という感じ。

そういう意味では「疑似外来語」と呼ぶ方が、より実態に近いのではないでしょうか。

続けましょう。

サイテヤーク(裂いて焼く=ウナギ)

シゼンワーク(自然湧く=温泉)

最近は自然には湧かないで、結構、掘ってるものもあるけど。

シリピカール(尻、光る=蛍)

スマシテトール(すまして撮る=写真)

スリモオール(スリも居る=混雑)

関東では「スリモイール」かな?

スルトヒーデル(擦ると火出る=マッチ)

セイトオソール(生徒恐る=学科試験)

ゾクシバール(賊縛る=巡査)

タンデクロース(痰で苦労す=ぜんそく)

チュートル(チュー<=ネズミ>取る=ネコ)

テンシル(天知る=悪事)

ニクモッテール(肉持ってる=牛)

ハイツルーリ・ハイスベリー・ハイトマルスベール(蝿ツルリ他=禿頭)

ハクトヘール(履くと減る=履き物)

バンクバール(晩配る=夕刊)

ヒネルジャー(捻るジャー=水道の蛇口)

フミクバール(文、配る=郵便配達)

ホエルカム(吠える噛む=狂犬)

マクルシャー(捲くるシャー=小便)

まだ和服だったんですね。それともまさか女性?

メカラヒーデル(目から火出る=鉢合わせ)

モンデクラース(揉んで暮らす=按摩)

ヨクナーク(よく泣く=赤ん坊)

リデクーテル(利で食うてる=金貸し)

ワンクラワン(ワン食らわん=夫婦喧嘩・・・は犬も食わない)

せっかくだから、こんな言葉、今4歳の息子にも教えて、保育所でも流行らそうかな。リバイバルで。子どもには受けると思うのですけど。親子四代に伝わるとなると、結構スゴイですよね。こんなアホな話が。

よーし、僕も作ってみるぞ。

ヨクネムール(睡眠薬)

コロバーズ(杖・ステッキ)

ヒルネール(お昼寝)

ヨルネーズ(徹夜)

ノマズクワーズ(絶食)

ナメール(飴)

お!そう言えば確か「ノドヌール」なんて薬があったな。

ヨクミエール(眼鏡、望遠鏡、オペラグラス、展望台など)

スグヤセール(ダイエット薬)

ゼニカース(消費者金融、銀行)

コクミンノギーム(教育・納税・労働)

オヤジニクタム(中年太り)

ダチョウの肉で、脂肪分が少ないから「フットラン(太らん)」という商品もあったな。

「モドラーヌ」というオムツのCMもを見ました。おしっこがみんな吸収されて戻らないんだそうです。

まあ、こんなところにしておきますか。後ろから二つ目を長音にして伸ばして、おしまいを「ル」や「ズ」で終われば、なんぼでもできますねえ。

皆さんも試しに、「ツクッテミール」

2002/3/28

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